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「アメリカで出現しつつある新しいIoTビジネスモデルとその雇用・経済への影響」

http://www.rieti.go.jp/users/iwamoto-koichi/serial/014.html

今年3月にドイツを訪問した際、ドイツ人は、アメリカからの競争的圧力に強い危機感を感じ、アメリカ
に搾取されないよう、どうすればよいか真剣に考えていたが、その理由がかなりの程度理解できる。IG
メタルは、労働者の雇用を守るために、なぜインダストリー4.0の議論の輪のなかに入っていって、真剣
に意見を述べているのか、なぜインダストリー4.0の推進自体には賛成なのか、理解できる

ドイツ人は、強い危機感を持って、アメリカに対抗するために知恵を絞っているのである。アメリカも
ドイツも、第4次産業革命というグローバル競争のなかで、どうやって勝ち残っていくか、その新しい
ビジネスモデルを必死で考えているのだ。その点、ドイツ人は素晴らしい。なぜなら、日本では、危機
意識を持って、対応策を真剣に考えている人は極めて僅かだからだ。

「デジタル・プラットフォームDigital Platform; DP」という新しいビジネスモデルは、ビッグデータ、
新しいアルゴリズム、クラウドコンピューテイングなどから構成される。このうち、アルゴリズムが競争
力の源泉である。

DPという新しいビジネスモデルでは、ネットワークを用いることでより大きな効果を生み出し、勝者が
大規模な利益を得る。

Contractorは、Platformerに対抗する力がないので、Contractorで働く労働者は、安定的な雇用が失
われ、最低賃金を享受し、コスト最小化という会社の都合で人事配置される。ビジネスを進める上で発
生するコストは、全てContractorが被る。Platformerがコストを負担することはない。(図表3)

3 ドイツ人が恐れていること

以上からわかるように、ドイツ人が恐れていることは、米国のPlatformer企業の下で、ドイツ企業が
Contractorとなり、そこで働くドイツ人労働者が、少数の米国人が莫大な利益を得んがために、悲惨
で惨めな雇用環境に陥ってしまうことである