障害者雇用、職場でパワハラ「幼稚園児以下」と暴言も

 障害者の雇用にあたって大切なのは何かを改めて考えます。勤務先の上司から「幼稚園児以下だ」などの暴言を受けていた知的障害のある男性が会社などを訴えた裁判で、6日、和解が成立しました。男性が裁判を通じ訴え続けたこととは。

 「ものすごく悲しかったです。泣きながら電車に乗った感じです」

 こう話すのは、知的障害がある鈴木大翔さん(仮名・28)。2008年、大手スーパー「いなげや」で障害者雇用の枠で採用されましたが、指導役の女性から暴言などのパワハラを受けたといいます。

 「『幼稚園児以下』もそうですし、『バカじゃん』とか、『いつまでたったら仕事を覚えるんだ』とか言われた」(鈴木さん)

 “幼稚園児以下”“バカでもできる”。

 「とりあえず耐えて、我慢し続けて働いていたので」(鈴木さん)

 指導役の女性から鈴木さんの家族に向けて書かれた連絡ノートには・・・

「前日にやったことは、どの程度、記憶していられるのでしょうか。今一度、初心にかえってみて下さい。かなり難しいことだとは思いますが」(連絡ノート)

 「どうしてあげたらいいのか。泣きながら支援団体の方に何回も電話しました」(鈴木さんの母親)

 鈴木さんは精神的に追い込まれて退職した後、「『いなげや』が障害者に配慮した環境整備を怠った」として、会社と指導役の女性に賠償を求めて提訴。一審の東京地裁は、「幼稚園児以下だ」などとした女性の暴言を認め、22万円の賠償を命じましたが、会社側の責任は認めなかったため、鈴木さんは控訴しました。

 そして6日、二審の東京高裁で和解が成立しました。「いなげや」が、会社側の責任を認め、“今後は知的障害者の特性を理解し、これを踏まえた職場環境を用意すること”を約束したのです。

 「私みたいな障害者にも働きやすい環境にしてほしいというのが私の願いです」(鈴木さん)

 和解を受けて、「いなげや」は「今後とも障がい者の方々の職場環境の整備などに一層の努力をする」とコメントしています。

 鈴木さんの“生きがい”は、知的障害者の国体でメダルを獲得するほどの実力をもつ水泳です。しかし、「いなげや」ではその水泳をすることさえ非難されたといいます。一方、現在の職場は水泳に打ち込む鈴木さんを尊重し、応援してくれています。

 この日、出場した大会では準優勝の結果をおさめました。

 「いろいろな子がいるので、特性を十分に理解して、雇う側が注意してほしい。出だしは大変かなと思うけど、軌道に乗ればうまくやってくれる子たち」(鈴木さんの母親)

 雇用率ばかりがクローズアップされがちな障害者雇用問題。

 「自分みたいな障害者の人とかの個性をちゃんと見て、働きやすい環境になるんじゃないかなと思ったのがよかった。裁判を起こしたことで少しは救われたのではないか」(鈴木さん)

 採用する「数」だけでなく、障害者が「働きがい」を持てる場を、きちんと提供できているかどうかも問われています。

TBS NEWS 11月6日 23時31分
https://news.tbs.co.jp/sp/newseye/tbs_newseye3517522.html
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