11/8(木) 10:31配信

 今年9月に平壌で行われた南北首脳会談の際、随行した韓国の財閥グループのトップらに対して北朝鮮の李善権(リ・ソングォン)祖国平和統一委員長が「冷麺が喉を通るか(周囲の空気を読まずに食事する人をなじる言葉)」と侮辱したという話が最初に出たのは、先月29日に行われた韓国統一部(省に相当)に対する国政監査の場だった。野党議員からの質問に統一部の趙明均(チョ・ミョンギュン)長官が「そのような話を聞いた」と答弁したため、李善権氏の「冷麺発言」は既成事実となったのだ。

 誰かの妄言や失言が1週間以上にわたりニュースになるのは珍しいが、今回の「冷麺発言」は10日が過ぎても収まる気配が見えず、政府としても気分が良くないだろう。対北朝鮮政策に対する支持を確保するには、核問題や人権問題、独裁王政といった北朝鮮の悪いイメージを払拭(ふっしょく)しなければならないのだが、現状では逆に「韓国に対する上から目線」や「傍若無人」という現状が知られてしまったからだ。しかしこれは韓国政府と与党が自ら招いてしまったことであり、他人や周囲のせいにするわけにはいかないはずだ。

 李善権氏の発言が報じられた直後、与党・共に民主党やその周辺からは例えば丁世鉉(チョン・セヒョン)元統一部長官が「最初から問題を起こすつもりだった」と言い、国家情報院の徐薫(ソ・フン)院長が「容認できない」と述べるなど抗議の声が相次いだ。ここで終わっていれば、李善権氏の問題は11月には終わっていただろう。

 ところが共に民主党の洪永杓(ホン・ヨンピョ)院内代表が「財閥トップたちに直接電話をかけて確認したところ、そんなこと(冷麺発言)はなかったと聞いた」と発言したことで雰囲気が変わった。政府・与党も口をそろえて「事実関係がはっきりしない」「(事実だとしても)冗談だったのだろう」などと主張し始めた。大統領府の金宜謙(キム・ウィギョム)報道官は5日に「文化の違い」と主張し「(平壌で受けた)大きな歓迎を侮辱する程度ではすまない」と言い出した。さらに6日には共に民主党の院内主席副代表が野党に対し「平和に反対するのか」と逆に問い詰めた。大統領府と与党による「李善権擁護」に対し、野党は統一部長官の解任決議案を提出するなど、問題は今も拡大している。

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