仙台市内の一部中学校で提供された10月24日の給食(市教委提供)
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 食材価格高騰のあおりで「栄養不足」に陥っていた仙台市立小中学校の給食。8日の市学校給食運営審議会では、委員から給食を巡る厳しい実態が報告され、給食費の引き上げ方針に肯定的な意見が相次いだ。
 「以前は4分の1にカットされていたオレンジが最近は、8分の1のときもある」「野菜が高騰すると、モヤシ料理が増えた。現場の栄養士は苦労している」
 中学校長を務める委員は、学校給食の激変ぶりをこう吐露した。中学校は主要10項目の栄養素のうち9項目が、国や市の定める摂取基準に達していなかった。
 市教委によると、本年度のオレンジの単価は1個72円。昨年度から一気に17円も上昇し、現行の給食費になった5年前から31円も高騰した。グレープフルーツも昨年度から20円上がり、1個122円になった。
 1食239〜290円の給食費の範囲内で食材を調達するため、副食は主食の米飯やパン、牛乳の価格上昇のしわ寄せを受けている。副食費は5年前より小学校は5.0円、中学校は7.9円少なくなった。
 相対的に目減りする予算で、高騰する食材を購入せざるを得ない給食の実態が、摂取基準の栄養量を満たせなくなった背景にある。
 仙台市の給食費は、宮城県内14市の平均を下回っている。審議会では複数の委員が「栄養量を満たせない理由が給食費なら、値上げはやむを得ないのではないか」と指摘した。

2018年11月09日金曜日
河北新報
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