Googleは2018年版の「Googleと著作権侵害との戦い」と題した報告書を公開し、これまでにYouTubeのコンテンツID(Content ID)を通じて、権利保有者に30億ドル(約3410億円)を支払ったことを発表しました。

これはGoogleがクリエイターとアーティストがコンテンツを公開して収益を上げることを助けると同時に、コンテンツを盗用する権利侵害者に資金が流れることを防ぐ取り組みの一環とされています。

ほか、著作権侵害を防ぐためのシステムに費やされた総額や、Googleの検索結果から著作権侵害URLや広告を排除するための努力にも言及されています。






今回の報告書では、Googleと著作権侵害との戦いや、正当な権利者に利益を還元することに注がれた努力がまとめられています。こうしたGoogleの試みは着実に成果を上げており、世界中で著作権侵害は減少している中で、合法的なコンテンツ消費はカテゴリ全体で増加しているとのこと。

続けてGoogleは、海賊行為との戦いに関する、いくつかの調査結果を例示しています。

1つは、YouTubeがコンテンツIDを通じて、正当な権利者に対して支払った30億ドルという数字です。

コンテンツIDとは権利者が自らサンプル動画をアップロードすると、その特徴を抽出したIDファイルが作成され、以降はYouTubeにアップされた動画に著作権違反がないか自動的にスキャン。そして違反が検知された場合は、権利者に通知するしくみです。

通知を受けた権利者には、3つの選択肢があります。すなわち「閲覧できないよう動画全体をブロックする」「動画に広告を表示させて動画を収益化し、場合によってはアップロードしたユーザーと収益を分配する」「その動画の再生に関する統計情報を追跡する」のいずれか1つです。

上記の30億ドルとは、このうち2つ目の「収益化」を集計したものと思われます。

そうしたコンテンツIDの開発とサポートには、1億ドル以上を費やしたとのこと。音楽業界に対しても著作権侵害への補償はされており、2017年10月から2018年9月までに広告収入で18億ドルを支払ったとしています。

さらに権利者および代理人向けに報告ツールを公開して以来、著作権侵害としてGoogleの検索結果から削除されたURLが30億件以上。2017年中にGoogleが不承認とした広告のうち、著作権侵害のあるものや、侵害サイトにリンクされた広告の数は1000万件以上......といった、とてつもない数字が明かされています。

かつて2014年の時点で、YouTubeがコンテンツIDを通じて2007年から(つまり7年間で)権利者に支払った総額は10億ドルと報じられていました。

その後わずか3年で、権利者への支払い総額は30億ドルと、3倍に膨れ上がったことになります。Googleが権利侵害の防止に熱心に取り組んでいる一方で、違法な収益を取り上げられても海賊版が今なお滅びずという2つの側面があるのかもしれません。

11月9日
https://japanese.engadget.com/2018/11/08/google-3400/