他人を陥れるために犯行現場に精子をバラまくことは可能なのか?
2018年11月9日 17時0分
文春オンライン

 10月18日、かつて勤務していた山梨、山形両県での女性3人に対する強姦致傷などの罪に問われた元NHK記者の弦本康孝被告(30)が、懲役21年とした一審判決を支持した仙台高裁判決を不服として、最高裁に上告した。

弁護士も本気でそんな話を信じているのか?
 弦本被告は一貫して「私は犯人ではない。私に恨みを持つ人物が遺留物として私のDNA型を現場に残した可能性がある」として、無罪を主張している。

 要は赤の他人が弦本被告の精液を何らかの方法で入手し、それを被害女性の陰部に塗り付けたということだが、そんなことが可能なのだろうか。

 現役医師が呆れたような口調で話す。

「あり得ません。当たり前じゃないですか。よほど高度な技術を使ったら可能かもしれませんが、それには医療機関の協力がないと無理でしょう。そういう医療機関の仲間がいて、結託してやったとしたら、国家レベルの暗黒医療機関が存在しているということですよ。私はそんな医療機関の話を聞いたことがありません。弁護士も本気でそんな話を信じているのか?」

春になってから刑務所に入ろうと企む人間も
 これに対する現役弁護士の見解はこうだ。

「弁護人は『それは通らない』と説明するのが普通ですが、被告人の言いなりに弁護する御用聞きのような弁護士もいます。おそらく被告人の言いなりにならないと懲戒請求されてしまう恐れがあるので、しぶしぶ言いなりになっている弁護士が大半ではないでしょうか。国選はよほどのことがない限り、辞任できませんので、ある程度説得してもダメな場合、被告人の言いなりにならざるを得ない面があります。私選の場合、『弁護士として、そういうことはできない』と言って辞任できますので、その弁護人が私選なのであれば、ダメな弁護士ということになります」

 弁護士も、頭から被告人の言うことを信じて弁護しているわけではないのだ。

 となると、弦本被告は何を考えてここまで悪あがきをしているのか。

「控訴や上告の場合、未決勾留日数は大して延びません。でも、秋に判決が確定すれば、冬の寒い時期を刑務所の中で過ごすことになるので、それを避けるために上告して時間を稼ぎ、春になってから刑務所に入ろうと企む人間が現実にいるのです」(捜査関係者)

「これは陰謀だ」と主張
 実は筆者はこれとそっくりな事件を過去に取材したことがある。2015年2月3日、千葉県鎌ケ谷市のパチンコ店駐車場で、遊技中の彼氏を待っていた女性(29)が車ごとさらわれ、同県船橋市内の空き地でレイプされたという事件だ。その後、犯人として逮捕された男(36)は、「これは陰謀だ。私に恨みを持つ人物が、私の精液を犯行現場にバラまいたからだ。私にはまったく身に覚えがない」と主張したのだ。

 その男が語る経緯はこうだ。

 事件の半年前、繁華街で中国人の男に「いい仕事がある」と声をかけられた。一緒に雑居ビルのスナックに入ったところ、出された酒を飲まされた途端、前後不覚に陥った。次に気付いた時は全裸でベッドにくくりつけられていた。

「あなた、○○さんだね。トボけたってムダだ。あなたのことは全部知ってるよ。あなた、覚醒剤で捕まったとき、私たちの仲間のことをペラペラしゃべったね。それで私たち、大変迷惑しているんだよ」

 その男は中国製の鋭利な刃物のような武器を突きつけ、「私たちの仲間になるか、今ここで死ぬか、どっちか選べ」と迫ってきた。

「なる、なるなるっ!」

奇妙な指示を受けるようになった
 すると、チャイナ服を着た女が出てきて、陰部に媚薬のようなものを塗られ、何度も手淫で射精させられた。

「あなたが裏切ったらあらゆる犯罪現場にこの精子がバラまかれることになるから。今や日本の犯罪捜査でDNA鑑定の信用性は絶対だ。あなたみたいに前科がある人間の言うことを警察は信用しないから」

 それ以来、自宅の郵便ポストに紙片が投げ込まれるようになり、奇妙な指示を受けるようになった。

「あるときは送られてきた郵便物を指定のあった場所に運び、またあるときは車の中で女を見張るだけのこともあった。またあるときはATMで金を引き出したり、夜逃げの手伝いをさせられたこともあった。報酬は1回2万円。自分が何をさせられているのかすら分からなかったが、ヤバイことに片足を突っ込んでいることだけは分かった」

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http://news.livedoor.com/lite/article_detail/15571621/