上記の枠組み(>>495)における請求権放棄の趣旨が、事後的個別的な民事裁判上の
権利行使による解決に委ねることを避けるという点にあること(>>497)からすると、その放棄は、
少なくとも、それに基づいて裁判上訴求する権能を失わせるものであるということができる。

すなわち、裁判上の請求がなされた場合において、その請求が請求権放棄に係るものであるという
抗弁の主張立証があるときは、その請求は棄却されることになる(原告側敗訴)。

なお、国家は、戦争の終結に伴う講和条約の締結に際し、対人主権に基づき、個人の請求権を
含む請求権の処理を行い得るから、それを国家の外交保護権の放棄にとどまるものとはいえない。