特に私が注目しておりますのは、『ザ・リビング・カンパニー』(『企業生命力』)という、
ちなみにこれも私が日本人の学生のゼミで読んだ本なのですが、会社の持続可能な経営とは
どういう経営なのかということに関して、この本は非常に参考になると思っています。これを
書いたのは、アリー・デ・グースというシェル石油に勤めていた経営者なのですが、一時期、
シェル石油が、「わが社は石油の会社です。石油は来年ではないかもしれないけれども、
なくなってしまいます。その時にシェル石油は大変なことになりますよね」ということで、
デ・グースさんに、「数百年の長寿企業を調べて、そういう会社が、ある意味、こういう
極めて難しい境目を乗り越えている事例を探して欲しい」と言いました。実はここに三井も
出てくるのですが、アリー・デ・グースの結論として、会社が中にいる人間を機械的に
扱ってしまうと、会社は生命力を失ってしまって新しいことをやり出す力がなくなる。
実は会社も生きものであって、そこにいる人間を尊重して育ててそれからいろいろな学習の
機会を与えて、その人たちがその恩返しとして、会社を新しい時代に連れて行ってくれると、
こういう思想になっているわけです。これこそがプラス・サム経営の競争優位性ではないかと
感じております。

http://davidjamesbrunner.org/wp-content/uploads/2014/01/2011-05-20-Koujun-Magazine-Brunner-lecture.pdf