ケリー容疑者「報告するな」 隠蔽工作か
https://mainichi.jp/articles/20181125/k00/00m/040/047000c

 日産自動車前会長のカルロス・ゴーン容疑者(64)らが金融商品取引法違反容疑で逮捕された事件で、前代表取締役のグレッグ・ケリー容疑者(62)が、
前会長の役員報酬の過少記載を外国人執行役員に指示した際「他の役員に報告を上げないようにしてほしい」と伝えていた疑いが浮上した。
関係者が明らかにした。
東京地検特捜部もこうした経緯を把握し、「腹心」とされるケリー前代表取締役に不正の認識があったとみている模様だ。

 ゴーン前会長らは共謀し、2010年度(11年3月期)〜14年度(15年3月期)の5年間、前会長の報酬総額が計約99億9800万円だったのに、
計約49億8700万円と記載した虚偽の内容の有価証券報告書を提出した疑いで逮捕された。

 関係者によると、ゴーン前会長らは逮捕容疑に続く15〜17年度の報酬計約30億円についても有価証券報告書に記載していなかった疑いがあり、
合わせて8年間で約80億円が不記載だったとみられる。

 初年度に当たる10年度には、年1億円以上の報酬を得る役員が氏名や金額などを有価証券報告書に記載するよう義務づける「個別開示制度」が始まった。
以前から毎年約20億円の報酬を得ていたゴーン前会長は、高額報酬への批判をかわすため「記載は10億円程度」に抑えるよう、ケリー前代表取締役に指示していたとみられる。

 その際、ゴーン前会長は記載しない分の約10億円を退任後に受け取る仕組みを考案したという。
ケリー前代表取締役はメールで外国人執行役員に過少記載を指示した際、他の役員への報告をしないよう伝えたとされる。

 ある日産幹部は「日産は本来、決裁基準がすごく細かく決まっているが、(前会長らは)そういうルールを全く守っていなかった。
社内のガバナンス(統治)をいくら強化しても、トップが不正をしたらどうにもならない」と話す。