世界的に仮想通貨が逆風にさらされている。

 2018年11月19日にビットコインの価格が5000ドルを割った。本稿執筆時点の11月22日夕には、日本の仮想通貨取引所では51万円台で取引されている。

 現在、時価総額で4番手につけているビットコインキャッシュの分裂や、米国の当局が仮想通貨で資金を集めるICO(Initial Coin Offering)への摘発を強化したことが主な要因だと言われる。

 現在の価格水準は、世界的に仮想通貨バブルが起きた2017年秋以前の水準に戻った。年明け以降、主要な仮想通貨はじりじりと値を下げ続けている。

 低迷の原因は何か。各国当局による規制強化が挙げられることが多いが、ここで強く指摘したいのは、仮想通貨に携わる一部の企業や個人の体質の問題だ。

●ビットコインキャッシュの分裂

 ビットコインキャッシュの分裂が起きたのは、11月16日のことだ。分裂は、仮想通貨の世界ではハードフォークと呼ばれるが、具体的な経緯は次のようなものだ。

 ビットコインキャッシュはもともと、ビットコインから分裂した仮想通貨だ。処理速度の遅さなどビットコインが抱える技術的な問題を解決しうるとして支持する人も多く、イーサリアムやリップルなどともに五指に入る仮想通貨に成長した。

 複数の報道を総合すると、分裂の原因は仲間割れだ。ビットコインキャッシュの普及に取り組んできた関係者らの意見が割れた結果、ビットコインSVとビットコインABCの2つに分かれた。

 分裂騒動には、古くからビットコインやビットコインキャッシュの普及に取り組み、「ビットコインジーザス」と呼ばれるロジャー・ヴァー氏も深く関わっているとされる。

 ビットコインキャッシュの分裂をきっかけとした仮想通貨価格の急落は、保有者らの「失望売り」が多くを占めたと受け止めていいだろう。

●当局によるICO規制強化

 米国では、ICOの摘発も続いた。

 米証券取引委員会(SEC)は11月8日(現地時間)、ICOで発行されたトークンを売買するプラットフォームを運営しているイーサーデルタ(EtherDelta)が、SECに未登録で有価証券を販売していたと発表した。SECの公表資料によれば、イーサーデルタの創業者側は取引所の運営による不当利得の返還などに応じたとされる。

 SECは11月16日にも、キャリアーEQ(CarrierEQ)、パラゴンコイン(Paragon Coin)の2社について、やはり登録せずに有価証券を発行していたと発表。SECの公表資料によれば、両社はICOによって資金を調達したが、この際に発行したトークンを有価証券としてSECに登録しなかったとされる。

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