文部科学省元事務次官の前川喜平さん(63)による講演が3日、高松市玉藻町のレクザムホールであった。前川さんは「教育を受ける機会の均等を国が保障するべきだ」と述べ、全都道府県での夜間中学開設の実現を呼びかけた。

 前川さんは「個人の尊厳から出発する教育論」と題して講演。官邸の権力が増して省庁が支配下に置かれている現状に危機感を示し、「政治が教育に介入することは許されない」と語った。

 前川さんは教育を受ける権利などを規定した憲法26条について解説し、家庭の経済的な事情や年齢に関係なく、誰にでも学ぶ権利はあると強調。義務教育を十分に受けられなかった人が学べる夜間中学を全国で設置するよう要望した。

 講演会は人権意識の向上につなげてもらおうと、部落解放同盟県連合会が主催した。この日は社会福祉法人「ノーマライゼーション協会」(大阪市)の山中多美男理事長も招かれ、「同和・人権教育の先進性から学ぶ」とのテーマで語った。会場には約1800人が詰めかけ、両氏の話に耳を傾けた。【小川和久】

毎日新聞 2018年12月4日
https://mainichi.jp/articles/20181204/ddl/k37/040/383000c?inb=ra