2018年12月5日 19時49分
ゲノム編集と呼ばれる最新の遺伝子操作技術を使って生産された農水産物を食品とする際、国は、新たな遺伝子が組み込まれていないものは安全性の審査は必要ないとした一方で、事前の届け出を求めるとした規制の方針をまとめました。

ゲノム編集は遺伝子を操作する最新の技術で、狙った遺伝子に変異を起こさせることや、新たな遺伝子を組み込むことができ、収穫量が増えるイネや大きくなるマダイなど農林水産業の分野で研究が急速に進んでいます。

厚生労働省の専門家会議は5日、こうしたゲノム編集を使って生産された農水産物を食品として流通させる際の規制の方針をまとめました。

その中では、新たな遺伝子を組み込んだものについては、毒性がないかやアレルギーを起こさないかなどの安全性の審査を行う対象にするとしています。

一方で、現在、開発が進められているほとんどの農水産物は新たな遺伝子を組み込まず、遺伝子の変異だけを起こさせていますが、こうしたものについては安全性の審査の対象とはせず、国への事前の届け出を求めるとしています。

また、届け出がされた情報はできるかぎり公表する仕組みを作ることが必要だとしています。

国はこの方針についてさらに検討を進め、来年度以降に通知にしたいとしています。

会議の近藤一成座長は「この技術はまだ知られていないので、広く理解を求める努力を国は今後も続けることが必要だ」と話しています。

食品の安全を確保するため、国は食品衛生法に基づいて「新しい食品」については安全性を審査することになっています。

その中で、一般的な品種改良でできた新しい作物などについては安全性の審査は必要ありませんが、遺伝子組み換え技術が応用された食品については安全性の審査が行われてきました。

そのため、遺伝子組み換えトウモロコシや遺伝子組み換えダイズなどは、国が、組み込まれる遺伝子がどのようなものかや、アレルギーを起こさないかなど、データを集めて審査を受け、販売されています。

また、販売の段階の表示として、「遺伝子組み換え」や「遺伝子組み換えではない」などと表示をする際のルールも決まっています。

そして、ゲノム編集も、遺伝子組み換え技術と同じように規制をすべきか国は専門家を集めて検討を行ってきました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181205/k10011736121000.html