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 青森県の弘前大学と岩手大学の共同研究グループは、リンゴ園で繁殖するフクロウが、リンゴの木を食害するハタネズミの抑制に
貢献しているという研究結果を発表した。ハタネズミの個体数は6割減になるという。
研究グループは、ハタネズミの被害を抑えるには、フクロウの繁殖を手助けすることが有効だと指摘した。

 研究グループは「リンゴ園で近年、ハタネズミによる食害が増える一方、フクロウの生息数が減っている」との報告を農家から受けたことから、
相関関係を研究し始めた。
2014年からリンゴ園でフクロウの繁殖支援を行い、16年からフクロウが繁殖した園地でハタネズミの個体数の変化を測定していた。

 研究によると、フクロウはハタネズミが多いリンゴ園を選んで巣を作っており、とりわけ巣の周辺でハタネズミの個体数が減るという。
平均では減少率は63%だった。繁殖期のフクロウは、ひなを育てるのに1カ月で最大300匹の餌生物を捕獲する。
このうちの8割以上がハタネズミだったという。

 また、繁殖支援のために巣箱を設置する場合は、300メートル間隔で置くのが最も効果的であることが分かったという。

 研究グループはフクロウの繁殖支援は、ハタネズミの被害軽減だけでなく、地域の生物多様性の保全にも貢献できるとしている。