■島内3市の自殺者数の推移
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 自殺対策基本法の改正で各自治体に自殺対策計画の策定が義務付けられたことを受け、淡路島内3市(兵庫県)は本年度内に計画をまとめようと議論を進めている。全国や兵庫県と比べて島内の自殺率は高いのが現状で、「SOSを発信しにくい地域性」なども指摘されるなど、都市部とは異なる対策が求められる。(高田康夫)

 厚生労働省が公表している「地域における自殺の基礎資料」(発生日、居住地の数値)によると、2010〜17年までの自殺者数は洲本市75人、南あわじ市106人、淡路市98人。2017年の人口動態統計による自殺死亡率(人口10万人当たりの自殺者数)は、島内が19・7と、県全体の16・5よりも高い。

 もともと自殺者が多かった洲本市では2013年度に「洲本市自殺0(ゼロ)実現推進委員会」を設けて、「“誰でも”ゲートキーパーの手引き」を作成。悩んでいる人に気付き、支援して見守ることができる人材の育成を進めた。その後、自殺者数は減少したが、16年以降は再び増加傾向。12〜16年平均の年代別自殺死亡率で高いのは男性が20〜40代、女性は10〜20代と若者の多さが目立つ。

 南あわじ市では、自殺者の職に土地柄が反映されている。全国では「被雇用者・勤め人」が79%を占めている一方、同市では「自営業・家族従事者」が65%にものぼり、全国的傾向とは正反対。企業の中には従業員のメンタルヘルス対策などに取り組むところもあるが、同市に多い農業などでは技術面や法律相談以外に、心の問題などを気軽に相談できる窓口も少ない。計画策定委員会でも、メンバーから対策を求める声が出たという。

 淡路市では、働き盛りの40〜50代男性と60歳以上の高齢女性が多い。交通事故の死亡者数の約2倍が自殺で亡くなっていることなども計画案に盛り込み、11月30日までパブリックコメントを募集した。

 「自殺の問題に限らず、引きこもりなど困っていることがあっても表に出さない地域性がある」と担当者。洲本市では17年度から「子どものこころの教育プログラム」を試行し、幼いうちからSOSを出せるよう小中学校で保健師らが授業をしており、淡路市でも子どもたちへの取り組みを検討しているという。

 これまでゲートキーパーの養成講座を実施していなかった南あわじ市も、職員や市民を対象に開催していくことなどを計画に盛り込む方針だ。同市は3日から計画素案をホームページで公開し、意見募集を始めた。

12/5(水) 11:46配信
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