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ロシア疑惑捜査 有罪認めた元トランプ氏補佐官に実刑求刑せず
2018年12月5日

2016年米大統領選へのロシア介入疑惑、ならびにロシア当局とトランプ陣営の結託疑惑を捜査しているロバート・ムラー特別検察官の事務所は4日、すでに連邦捜査局(FBI)への偽証罪で有罪を認めているマイク・フリン前大統領補佐官(国家安全保障問題担当)について、実刑を求刑しない方針を明らかにした。

ムラー特別検察官事務所は、量刑を言い渡すコロンビア特別区(ワシントン)連邦地裁判事への書面を公開。内容のほとんどが黒塗りされていたが、フリン被告に実刑を求刑しないことが明らかになった。量刑言い渡しは18日に予定されている。

ドナルド・トランプ大統領はロシア疑惑について、一貫して「結託はなかった」と主張し、捜査を「魔女狩り」だと非難してきた。

一方でフリン被告は、トランプ政権発足前に当時のロシア大使と対ロ制裁解除を話し合ったと認めた。米国では政府関係者以外が勝手に外国政府と交渉することは違法。被告はさらに、ロシア大使との接触についてマイク・ペンス副大統領にうそをついたと認めている。さらにFBIの取り調べに対しても、うその供述をしたと認めている。

ムラー特別検察官の書面では、フリン被告が捜査に繰り返し協力し、ロシア当局とトランプ陣営の連携関係について、その場にいた当事者として詳細情報を捜査陣に提供したと説明。

「そのため、量刑基準において最低レベルのもの(一定期間の収監を科さない量刑を含め)が相当で適切」だと文書は結論している。さらに情状酌量すべき内容として、フリン被告が軍人や公職者として「非常に優れた」働きを重ねてきたことや、「速やかに責任を受け入れ政府を相当に支援した」ことが考慮されるべきだと、減刑を促している。

ロシア疑惑捜査の詳細については、「捜査進行中の事案」について公表に適さない情報を含むという理由で、明らかにしていない。

求刑に関する書面に添えられた補足文書は、かなりの部分が黒塗りされている。しかし、フリン被告が「政権移行チームとロシア政府当局者との関わりの内容と程度について直接的な情報」を提供したと書いている。

「被告人は刑事捜査に相当の協力を提供した」という部分以外はすべて黒塗りされた箇所もある。

マイク・フリン被告とは

中略

ほかに有罪を認めた関係者は

ムラー特別検察官に起訴されたトランプ陣営関係者は、ほかにも有罪を認めているが、ロシア疑惑関連で有罪を認めているのはフリン被告のみ。

選対副本部長だったリック・ゲイツ被告は、選挙とは別件の詐欺罪や偽証罪などで有罪を認めている。

ポール・マナフォート元選対本部長は、選挙とは別件の詐欺罪や銀行詐欺罪、脱税などで有罪評決を受けた。司法取引に応じたが、FBIに虚偽の供述をしたため取引条件に違反したと言われている。

トランプ氏の顧問弁護士だったマイケル・コーエン弁護士は、2016年大統領選中にトランプ氏の会社がモスクワで検討していた不動産開発計画について連邦議会に偽証したと法廷で認めた。コーエン弁護士はこのほか、選挙法に違反して投票日前にトランプ氏の不倫相手に、トランプ氏の指示で口止め料を払ったと罪状を認めている。

(英語記事 Mueller investigation: No jail time sought for Trump ex-adviser Michael Flynn)

マイケル・フリン前大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は連邦捜査局(FBI)への偽証を認めている
https://ichef.bbci.co.uk/news/410/cpsprodpb/DAE0/production/_104623065_mediaitem104622450.jpg
「被告人はさらに次に関して有益な情報を提供した」という文節以外は黒塗りされたページ
https://ichef.bbci.co.uk/news/410/cpsprodpb/12BB2/production/_104622767_image001.jpg