雑誌などで世界の有力CEOに選ばれた人の会社を追跡すると、
数十年後、その会社は平均よりあまりよくない状態になっていると統計が出ており、
CEOによる会社の成功への関与は10%ぐらいだと言われている。
雑誌や新聞などでもてはやされた、その有力CEOってのは、
たまたまその時代のタイミングにあったことをしていただけであり、
時代が違えば失敗したり、他者がミスや不正などしなければ
客観的に見ると資本主義の中では運ってのは考えられている以上に大きな要因。
その人自身の能力や努力は要因としては小さい。運という不確実性による影響が過小評価されている。
もしそのCEO自体の能力によるものなら、いつの時代でもうまくいくはずだからね。実際はそうではない。

であるなら、運をつかむにはチャレンジ回数を増やせる人ほど有利ということになり、
資本主義の中では、それは資本を持っているほどリスクをかけてチャレンジできるわけなので、
抽選権がたくさんあって有利というわけであり、これが格差の固定の元になっているわけだ。
こうして、一度運がよかったら、次もまた当てやすくなるっていう不公平なばくち打ち社会のできあがり。

アダム・スミスは個人個人が自らの利益のために金儲けをしているだけで
「見えざる手」に導かれて、人々の格差は縮小していき適切な状態になっていく…と主張していた。教科書にも載っていた。
そうやって今まで概ねの経済学者はアダム・スミス的な事を主張していたが、21世紀に入って、それは間違いだと統計的にも分かってきた。
格差は次の格差を生む力になり、市場はそこまで賢くなく、効率的ではなかった。
20世紀は電気や石油の文明が一気に拡大し、社会全体に成長余地があり、人口もどんどん増えた時代だった。
そのため、需要と消費が爆発的に生まれ、次から次へと消費を生ませる資本主義が、たまたまマッチした時代だった
だが、21世紀はそのような文明爆発期ではないし、おおよその成長が終わった先進国では人口はふえなくなったので需要も無くなり、
20世紀までの資本主義理論が成立しなくなった。(トリクルダウンは起きないってのが明らかになったのはその一例みたいなもの)