ソフトバンクグループの携帯電話サービスで6日に発生した全国的な通信障害は、4時間半にわたって続いた。通信子会社の株式上場準備中に思わぬ形でつまずいた格好だ。

  通信子会社のソフトバンクは7日、現時点で業績や1株当たり配当金の予想値に変更はないと発表した。2019年3月期は営業利益7000億円、1株当たり配当金37円50銭と予想している。

  発表によると、通信障害は6日午後1時39分ごろから午後6時4分ごろまで続き、同社の格安スマホブランド 「ワイモバイル」や固定電話サービスなどでも同様の障害が発生した。障害はエリクソン社製のソフトウエアの異常が原因。ソフトバンクは、エリクソンと共同で再発防止に取り組むとしている。

  東京センターと大阪センターに設置している全国の契約者を電話やネットに接続するパケット交換機全台数で、エリクソン社製のソフトに午後1時39分ごろ異常が発生。ソフトを旧バージョンに戻すことで復旧した。同ソフトは9カ月前から運用しており、同様の異常はエリクソン社製通信設備を使用する海外11カ国の通信事業者でも、ほぼ同時刻に発生したとエリクソンから報告を受けているという。


上場準備中に大規模障害が発生
  電気通信事業者協会のウェブサイトによると、9月時点のソフトバンクとワイモバイルの契約数は4043万8100件でNTTドコモとKDDIに次ぐ規模。ソフトバンクの回線を使ってサービスを行うLINE(ライン)モバイルなど格安スマホブランドにも影響があった。

  通信インフラの障害は社会的混乱も引き起こし、東京消防庁は119番通報がかかりづらくなっているため、他社の携帯や固定電話からの通報を呼び掛けた。共同通信によれば、佐川急便ではドライバーの専用端末に情報が届かなくなった。

  通信障害は、国内通信子会社の新規株式公開(IPO)で購入希望の申し出を受け付けるブックビルディングを実施している最中に発生した。ブックビルディングは7日まで行われ、売り出し価格は10日に決定する。上場は19日の予定。

  証券ジャパンの大谷正之調査情報部長は電話取材で「既に株式売り出しの募集もほぼ終わっており、IPOへの直接的な影響はないとみている。こういう問題はどこの通信会社でも起こり得ることだ」と述べた。「市場では配当利回りの魅力が指摘されている。長期保有の投資家を中心に人気が高いのではないか」と分析している。
(通信子会社の業績予想に変更がないことや外部コメントを追加します.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-06/PJC6Z56S972801