国土交通省が全国3千の建設業者に毎月、アンケートする「建設労働需給調査」。10月時点で、3カ月後の人手確保の見通しを「困難」としたのは24・2%。「容易」は6・3%にとどまるが、最多は「普通」の62・4%だった。10月までの1年間の毎月の調査結果を見ても、「普通」が一貫して最も多い。
「一部に人手不足感はあるものの、すぐに工事がストップしたり、倒産が増えたりする切迫した状況にはない」。主なゼネコンでつくる日本建設業連合会(日建連)の永山貴一広報部長はこう語る。永山部長によれば、2015年の統計で、建設業の労働者数は10年以降横ばいが続く。一方で建設投資額は1996年度比で4割減っている。
国交省は、建設業が受け入れる外国人を来年度5千〜6千人、5年後には3万〜4万人と推計。根拠として、高齢労働者の引退や働き方改革の進展を挙げた。建設労働需給調査は考慮していないという。
長期的にみると、建設業の人手不足は避けられない。日建連の15年の推計では、建設技能労働者の4割が50歳以上。「10年以内に100万人規模の離職時代が到来する」とみる。ただ、その解決を外国人に求める声は多くない。
有識者でつくる国交省の中央建設業審議会小委員会は6月、「建設業の担い手確保策」などとして、長時間労働の是正や処遇改善など4点を取りまとめた。外国人労働者の受け入れは含まれておらず、同省が10月、全国各地で建設業者と開いた意見交換会でも、外国人労働者を求める声は少なかったという。
「建設業は危険を伴う現場が多く、日本語の理解は欠かせない。外国人労働者と言われても、ぴんとこない業者が多い」。約1万9千社でつくる全国建設業協会の牧角修技術顧問は首をひねる。
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