サムスンのやり口

LCDディスプレイの分野で、シャープが特許侵害でサムスンを訴えたのが2007年。
2009年には欧州の法廷でサンスンによる特許侵害を認める判決が下され、
当該特許が使われたサムスン製品のEU域内への輸入が禁止になった。

これと前後して米国の国際貿易委員会でも輸入禁止の判断が下されたことで、
サムスンはようやくシャープと和解している。

ただし、その約2年の間にサムスンは薄型テレビ市場でシェアを大きく伸ばし、
2009年末には世界シェアが23.6%にまで達していた。
一方のシャープはシェア5.4%どまり。
試合に勝って勝負に負けたシャープは、その後、会社存亡の危機を迎える事態に陥った。

同じような例は、プラズマテレビの分野でも生じた。
その時の被害者はパイオニアである。

同社が米国でサムスンを特許侵害で訴えたのが2006年、
2008年にはサムスンに損害賠償支払いを命じる判決が下された。

2009年には両社の間で和解が成立したが、時すでに遅し。
2010年、パイオニアはテレビ市場から撤退した。

これらの事例から読み取れるサムスンのパターンはこうだ。

他社の特許を勝手に使い、それを相手から咎められると、
「そっちこそ!」と別の特許を引っぱり出して相手を訴え返す。

裁判が長引いている間に市場シェアを抑え、
輸入および販売の禁止が現実的になりそうなところで和解に持ち込む。

米『Vanity Fair』では、スマートフォンやタブレットでのAppleとの争いは、
その焼き直しである、と断定している。