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ファーウェイ副会長逮捕 カナダのトルドー首相、政治的思惑を否定
2018/12/07 7時間前

中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)最高財務責任者(CFO)兼副会長の孟晩舟氏がカナダで逮捕されたことについて、カナダのジャスティン・トルドー首相は6日、カナダ政府は関与していないと話した。

ファーウェイ創業者の娘でもある孟副会長は1日、米国の要請に基づき、カナダ西部ヴァンクーヴァーの空港で逮捕された。
中国政府は逮捕が人権侵害だとして孟氏の釈放を求めている。保釈聴問会は7日に開かれる。

逮捕容疑は公式には発表されていない。ファーウェイは「孟氏のいかなる不正も把握していない」と述べた。
ただし米当局は、ファーウェイによるイラン制裁違反の可能性について捜査してきた。複数報道は、副会長の逮捕はその捜査に関連している可能性があると示唆した。

ジョン・ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)はこの件について、記者団の質問にコメントしなかった。
その一方で、中国企業の商慣行と業務内容が中国政府の「手先」になっている可能性について、一般論として「非常に大きな懸念」を抱いているとボルトン氏は述べた。
逮捕を受け、欧州株は2年ぶりの安値をつけたほか、アジアの主要株価も大きく下落した。市場アナリストたちは、逮捕により米中貿易戦争の危険性が再燃したとの意見だ。

ただし、米株式市場の主要3指数は6日の取引終了までにやや回復した。主要3指数の1つ、ナスダック総合指数は前日より高値で終わった。

中略

中国の反応

中国外務省の報道官は記者団に、「理由を全く示さない拘束は、個人の人権を侵害している」と述べた。
「中国側は米国およびカナダに対し、厳しく抗議した。拘束理由をすぐに開示し、個人の法的権利を守るため拘束者をすぐに解放するよう、両国に要求している」
ファーウェイは声明で、「事業展開している地域の輸出規制や制裁に関する法律、さらに国連(UN)や米国、欧州連合(EU)の法規を含む、あらゆる関連法を」同社は順守していると述べた。

<解説>遠慮はおしまい――カリシュマ・ヴァスワニ BBCアジアビジネス担当編集委員

この問題の象徴的な意味合いと重大性は、いくら強調しても強調し足りない。孟氏はファーウェイ創業者の娘で、ファーウェイは中国テクノロジー業界の宝物のような存在。孟氏は実質的に、そのお姫様なのだ。

逮捕容疑はまだはっきりしていないが、米当局が対イラン制裁違反の疑いでファーウェイを捜査していたことは知られている。つまりこれは単に、1人の女性やひとつの企業の問題ではないのだ。

ただでさえ長年にわたり厳しく対立してきた米中両国の関係は現在、極めて緊迫している。その最中でのこの逮捕は、両国関係に具体的なダメージをもたらす恐れがある。
両国ともグローブを脱いだ。遠慮はおしまいで、本気の戦いが始まる。事態は劇的に悪化している。

(英語記事 Huawei arrest: Justin Trudeau denies political motivation)