ヒトラー予言はまさに当たりつつあるな

「よろしい、では解説してやろうハンス。わたしが言った未来に現れる
”永遠の未成年者の集団”というのは、もちろん、死ぬまでおとなになり
きれない人間たち、ということだ。

そんなことは、きびしい正常な社会ではありえない。だからそうなる
背景には、甘やかされた異常な社会が当然ある。その中で、同じように
おとなになりきれない親に、愛玩動物のように育てられるため、
子どもも成人しても真のおとなになれないのだ。
しかしハンス、じつはそれだけじゃない。わたしがほんとに言いたかったのは、そのことではない。未来社会には、そういう永遠の未成年集団が現れる一方で、幼いときからおとなの思考と感情を持った人間たちも現れるのだ。
信じられないだろうが、彼らは胎児のときからさえ、そのように教育される。五つか六つで一人前の理屈と判断力をそなえ、一三、四歳にもなれば、並みのおとなを指揮するほどの力を持つようになる。
つまり両極端ということだ。肉体がおとなで感情が幼児のようなグループと、肉体はまだ青春期にまでいかないのに、思考と感情がおとなを超えるグループ……。
しかもハンス、それは人間の発育状況だけじゃないのだ。人類と社会のあらゆることが、未来には、そのように両極端に分かれてしまうのだ。
たとえば金だ。一方には腐るほど大量の金を持ち、広く高価な土地を持ち、労せずして限りなく肥っていく階級が現われる。
貴族とか新しい中産階級とか言ったのはその意味だ。だが少数の彼らが現われる一方、他方の極には、何をどうやっても絶対に浮かび上がれない連中も現われるのだ。
(中略)
愛もそうだ。特定の男女にだけ、愛と肉体の快楽が集中する。一方、一生に一度の真の愛も快楽も得られない男女も増える。要するに、
土地や金や支配力を得る者は、ますますそれを得、支配される者はますます支配されるだけになる。そうだハンス。それが未来なのだ。わたしの見た未来だ。未来はそうなるのだ」