経産省主導で日立、東芝、ソニーの中小型液晶事業を統合し、世界に対抗できるディスプレイメーカーを作ったところ、
ポスト液晶に向けた大規模な投資もできず、過当競争市場で国の顔色をうかがいながら赤字を垂れ流し続ける存在となってしまったジャパンディスプレイ。

つい先日、中国からの出資受け入れ交渉が本格化しつつあることをお伝えしましたが、それが自らの首を絞めることとなりそうです。詳細は以下から。

台湾メディア「経済日報」の報道によると、AppleがiPhone XRなどに採用されている液晶の調達先をジャパンディスプレイから台湾のAUO、Innoluxに切り替える可能性があるそうです。

これは米中間で貿易摩擦が起きているさなか、経営再建中のジャパンディスプレイが中国からの出資受け入れを検討していることを受けたもの。

もし報道されている通り、来年3月までにジャパンディスプレイが中国の企業やファンドで作るグループから500億円の出資を受けることで合意した場合、
政治的な影響を避けるため、Appleの台湾勢への切り替えは現実味を帯びる見通し。

すでにiPad向けディスプレイを導入した実績があるAUOが一歩リードしていますが、Foxconn傘下のInnoluxが液晶を供給することになれば、
鴻海グループの悲願だった「自前でのAppleへの主要部品納入メーカー入り」を果たすことになります。

一方でもし本当にAppleから切られた場合、大口顧客を失うことになるジャパンディスプレイ。

自前でディスプレイを用立てられる韓国・Samsungを除けば、Apple以外に売り込める相手は中国メーカーしかありませんが、
日本政府がHuawei・ZTE排除を決めるなど順風満帆とはいかないであろう空気も立ちこめ始めています。

中国資本が入ることで、経産省傘下で身動きが取れずにいた状況からはある程度逃れられるものの、新たな苦難が待ち受けることとなりそうです。

https://buzzap.jp/news/20181226-jdi-apple-china/