誰にも看取られず、一人部屋で亡くなる孤独死は年間約3万人――。ここ日本ではざっと置き換えると1日当たり約82人、1時間に約3人以上が孤独死で亡くなっているという計算になる。『孤独死大国 予備軍1000万人時代のリアル』の著者、菅野久美子氏が、現代ニッポンの抱えるこの大きな社会問題のリアルを追った。

(中略)

平成27(2015)年版高齢社会白書によると、60歳以上の高齢者全体で、毎日会話をしている人が9割を超えているのに対して、一人暮らしの男性は約3割、女性は約2割が、2〜3日に一度以下となっている。近所付き合いに関して見てみると一人暮らしで、「つきあいがほとんどない」と回答した女性はわずか6.6%であるのに対して、男性は17.4%と極端に高い。つまり60歳以上の一人暮らしの男性は、近所付き合いや人との交流がなく、頼れる人がいない人が多いというのが現実なのである。

孤独死の不安を抱えるのは、高齢者だけではない。ゆとり世代、団塊ジュニア世代は、生涯未婚率が高いことから、将来設計から見てもひとごととはいえないのだ。実際、団塊ジュニア世代からは、将来「孤独死するかも」という不安をよく耳にする。

そんな孤独死が起こるメカニズムについていち早く目をつけたのが、前述の年間の孤独死3万人という数字をはじき出した、民間のシンクタンクのニッセイ基礎研究所だ。

同研究所の前田展弘研究員らは、「長寿時代の孤立予防に関する総合研究〜孤立死3万人時代を迎えて〜」という研究成果を2014年に発表した。

この研究によれば、全国では、ゆとり世代が66万人、団塊ジュニア世代で105万人、団塊世代で33万人、75+世代(75歳〜79歳)で36万人が、社会的孤立が疑われる状況にあるというのである。

この数字を見ると、孤独死は、高齢者だけの問題ではないことが明確となる。むしろ、ゆとり世代や団塊ジュニア、今の30〜40代のほうが数字の上では深刻だという結果にあぜんとせざるをえない。そして、これらの4世代を合わせると、なんと240万人という数字に膨れ上がる。

しかしこの240万人という数字は、それぞれの世代を一定の年齢として区切って集計したものなので、その間の年齢は含まれていない。

そこで、このニッセイの調査を基に私自身が独自に行った概算によると、わが国において、約1000万人がさまざまな縁から絶たれ、孤立していると推測されることがわかった。

この数字が孤独死予備軍だとすれば、日本には"孤独死大国"というなんとも暗すぎる未来が待ち構えていることになる。

前田研究員は、孤独死の前段階といえる「孤立」の予防に関してカギを握るのは、人と人とのつながり、つまり「縁」だと主張する。この縁には、血縁、社縁(職縁)、地縁、選択縁(趣味などを通じて生まれる縁)など、さまざまな種類がある。そのような縁がなぜ途切れてしまうのだろうか。では、孤独死の前段階ともいえる、「孤立のリスク」を高める要因は何なのか。

前田研究員らの調査によると、団塊ジュニア世代では、未婚で単身生活者、非正規労働者、無職(専業主婦も含む)の割合が高い。非正規労働は、収入や職場が安定せず、人間関係も流動的になる。いわば”職縁”から切り離された属性が、社会的孤立リスクが高まる要因になると考えられる。

ゆとり世代でも、未婚の割合が高くパート、アルバイト、無職がほかの世代に比べて高い。ゆとり世代は、現在、親と同居している人も多いが、いずれ親は亡くなることを考えると、属性としては将来の単身者予備軍だといえる。

そして、団塊ジュニア、ゆとり世代こそが実は最も孤独死に近い世代だといえるだろう。そう、現在の孤独死年間3万人は、「大量孤独死時代」の序章に過ぎないのである。

https://toyokeizai.net/articles/-/255831

★1:2018/12/29(土) 19:12:53.82
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