東京電力福島第一原発の事故による住民の被ばく量について、東京大学の名誉教授らが
3分の1程度に過小評価する論文を発表していたとして、学術誌に修正を申し入れた
ことがわかりました。名誉教授は「計算プログラムのミスによるもので意図的な
誤りではない」としています。

東京大学の早野龍五名誉教授らはおととし、イギリスの放射線防護学会が
発行する学術誌に、原発事故による福島県伊達市の住民の被ばく量を推定する
論文を発表しました。

その中では、平均的な一生涯の被ばく量を18ミリシーベルト以下としていましたが、
別の研究者から疑義が寄せられたため、調べたところ、計算プログラムのミスが見つかり、
実際はその3倍程度の50から60ミリシーベルトだったということです。

このため、早野名誉教授らは去年11月、学術誌に論文の修正を申し入れ、
手続きを進めているということです。

また、この論文をめぐっては、およそ5万9000人分のデータのうち、およそ半数が
住民の同意を得ないまま使われていたということで、住民が東京大学に研究
倫理違反の申し立てを行っています。

早野名誉教授は「重大な誤りだが、計算プログラムの書き間違えによるもので
意図的ではない。被ばく量が3倍になっても1年の平均では1ミリシーベルトを
超えないレベルに収まると考えている。住民の同意を得ていないデータが
含まれていることは知らなかったが、データを使ったことは事実で申し訳なく思う」と
話しています。

原発事故の被ばく量を過小評価 東大名誉教授らが論文修正へ | NHKニュース
ttps://www3.nhk.or.jp/news/html/20190108/k10011771171000.html
2019年1月8日 17時00分