『水道民営化の真の狙いは海外"水ビジネス"への参入』

神保哲生 (水道民営化の)理由は何だというふうに見ていますか?

橋本淳司 海外の水道事業をやりたい、ということです。
今後、水ビジネスが非常に大きくなっていくだろうという読みがあり、海外の市場は現在70兆円、2025年に100兆円になるとも言われています。

神保 新興国や途上国が少しずつ豊かになるにつれ、水道網の整備が必要になってくるという期待ですね。

橋本 そういうところに水道技術を売っていこうと。
市場の中で取り幅が大きいのは運営の部分で、日本企業が得意としているエンジニアリングや部材の部分は10兆円程度。
より大きな市場に出るために、日本である程度練習をして、経験を積んでいこうと。
実は経産省が「100兆円市場になったときに、6%を日本が取りたい」という目標を立てています。
急に「コンセッション」の一文を書き加えろというのは、経産省や官邸が無理に押し込んできたという感が強いですね。
水道法改正によって企業が水道の運営ノウハウを身に付け、いわば国内で「練習」できれば海外に打って出やすくなるという目論見でしょう。