【ソウル=水野祥】資産の差し押さえの対象は、新日鉄住金が所有する、韓国の鉄鋼大手ポスコと合弁で設立したリサイクル会社「PNR」の株式のうち8万1075株だ。

 原告代理人によると、この株の価値は4億ウォン(約3900万円)相当といい、新日鉄住金は株式の売買や譲渡が自由に出来なくなった。新日鉄住金側は異議申し立てをできるが、差し押さえを回避できる可能性は低い。新日鉄住金は「極めて遺憾。日本政府に相談し、適切に対応する」としている。

 今後の焦点は、差し押さえた資産を現金化するための売却命令の申請を原告側がいつ行うかだ。原告側が売却命令を申し立てれば、「早くて2、3か月、長ければ約半年」(外交筋)で差し押さえられた資産が現金化される。

 原告代理人の林宰成(イムジェソン)弁護士は9日、ソウル市内で行われた討論会で「韓日両政府で責任ある措置が取られていない状況で、他の被害者も訴訟を起こさざるを得ない」と述べ、訴訟代理人団を作り、近く新日鉄住金に対し、追加訴訟を行う考えを明らかにした。

 また、大法院が三菱重工業に元徴用工らへの賠償を命じた昨年11月の2件の確定判決を巡っては、三菱重工業が2月末までに賠償協議に応じると回答しなければ、原告側は3月にも資産の差し押さえを申請すると表明している。元徴用工らが日本企業を訴えた訴訟は原告計約930人が起こした12件が進行中だ。韓国政府が適切な対応策を示さない限り、韓国内で今後も追加訴訟や資産の差し押さえ申請が相次ぐとみられる。

http://news.livedoor.com/lite/article_detail/15852131/