2019年1月11日 7時0分
日本農業新聞

 日米貿易協定交渉の開始時期に、不透明感が漂っている。米国は中国との貿易協議を本格化させており、協議期限の3月1日まで日米交渉が入る余地はみえない。日本側も国会召集で予算審議が始まれば、日程調整が難しくなるのは必至。一方、米国内では、農業団体を中心に早期妥結を求める声が根強い。日米交渉は20日から可能になる。米国が近く交渉開始に踏み切る可能性は依然として残るが、開始は4月以降との見方も出ている。

 交渉を担う米通商代表部(USTR)は昨年12月21日、対日交渉の方針を公表。貿易交渉の手続きを定めた大統領貿易促進権限(TPA)法に基づき、30日後の今月20日から交渉ができる。

 ただ、米国の現在の最優先課題は中国との貿易摩擦への対応だ。中国による知的財産権の侵害問題や対中貿易赤字の削減を巡る協議を始めた。期限は3月1日で、米国の責任者は、日米交渉と同じライトハイザーUSTR代表。協議事項も幅広いとみられ「対日交渉と両立ができるほどの余裕はないだろう」(外交筋)との見方がある。

 仮に米中協議が期限内にまとまっても、日本側で交渉を担当する茂木敏充経済再生・環太平洋連携協定(TPP)担当相は、通常国会の予算審議の重要閣僚のため、米国出張は難しいとみられる。初会合が米国開催であれば、4月以降の可能性も高まる。昨年の閣僚級貿易協議(FFR)も、開催に合意したのは4月だったが、初会合は通常国会の閉会後だった。

 日本側は交渉開始を急がない姿勢だ。一方、米国の農業団体は、早期妥結を強く求めている。環太平洋連携協定(TPP)が発効し、日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)も2月1日に発効する、4月に入れば両協定とも関税削減が2年目に入り、他の対日輸出国と比べて条件が不利になるからだ。

 交渉開始が先延ばしになれば、米国の農業団体の焦りは募る展開が予想される。2020年の次期大統領選を控え、貿易交渉で成果を出したいとされるトランプ大統領率いる米国の交渉力学に、どう作用するのか。注視が必要だ。

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