加賀繍(かがぬい)の工房「加賀繍IMAI」(金沢市三口新町3丁目)が、伝統の技法を用いた刺しゅう入りのランドセルを開発した。花やチョウ、手まりといった柄を一針一針手縫いで仕上げた特別感が売りで、世界に一つの「加賀繍ランドセル」として、金沢の工芸を発信する。

金沢市の「金沢ブランド工芸品開発促進事業」の採択を受け、メーカーと協力し、赤、黒、茶の3色を5点ずつ製作した。図柄を立体的に浮かび上がらせる「肉入れ繍」や、微妙な濃淡を表現する「ぼかし繍」など加賀繍の特長を生かし、側面や背面、ポケット内に刺しゅうを入れた。

柄は全て異なるデザインで、伝統的な図柄を大切にしながら、現代の子どもが性別を問わず使えるよう工夫したという。価格は10万〜20万円程度で、メーカーの販売店や工房で取り扱う。

工房によると、厚みのあるランドセルの牛革を縫うには針が折れるなどの難しさがあり、一つを完成させるには2週間から1カ月程度かかる。工房の代表で伝統工芸士の横山佐知子さんは、今後はオーダーメードで製作を続けたいとし「子どもだけでなく、その家族にもランドセルを通じて加賀繍の良さを知ってほしい」と話した。

2019/01/09 01:50
北國新聞
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