神奈川県警が昨年1年間に受理した110番約83万5000件のうち、約48%にあたる約40万件が、いたずらや不要不急の通報だったことが県警通信指令課のまとめで分かった。県警は「110番の日」の10日、県内各地で啓発イベントを実施し、適正利用を呼びかけた。

 「110番緊急電話です。事件ですか。事故ですか」。県警の通信指令室で9日、通報を受けた千葉麻由巡査部長(49)がヘッドホン越しに丁寧な口調で問いかけていた。ダンプカーと乗用車が衝突した交通事故を通報した男性はけがの有無を尋ねられ、「自分はけがはないけど、相手は分からない」などと、早口で事故の状況を伝えた。

 一方、千葉巡査部長は落ち着いた口調で対応。地図を表示するパソコン画面を操作しながら、聞き取った交差点名を打ち込むなどして正確な位置を特定し、無線で最寄りの警察署やパトカーに事故の情報を連絡した。千葉巡査部長は「現場が見えないので、通報を受ける時は相手の立場になって状況を正確に聞き取るよう心がけている」と話す。

 こうした通報は通信指令室にひっきりなしに入って来る。昨年受理した約83万5000件を単純に時間で割ると、約38秒に1回の割合になる。しかし、半数近くが不要不急の案件やいたずら電話で、「テレビが故障した」「自販機から商品が出てこない」「宇宙人が来た」などの110番もかかってきたという。

 こうした通報への対応に追われると、事件など迅速な初動が求められる案件への対応に支障が出る恐れがあることから、同課では、不要不急の相談や要望などは、警察相談専用電話「#9110」を利用するよう呼びかけている。

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2019年01月11日 09時50分
YOMIURI ONLINE
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