JOC竹田会長 五輪招致で汚職に関与容疑 仏メディア報道
2019年1月11日 18時15分

フランスのAFP通信や有力紙「ルモンド」は、JOC=日本オリンピック委員会の竹田恒和会長に関して、来年の東京オリンピック・パラリンピックの招致をめぐる汚職に関わった疑いで
フランスで刑事訴訟の手続きが取られていると伝えました。

AFPは司法関係者の話として、竹田会長が招致をめぐって200万ユーロ(およそ2億5000万円)を支払った疑いがあると伝えています。

◇竹田会長「聴取は事実 否定した」

JOCの竹田恒和会長は「去年12月に聴取を受けたのは事実だが、聴取に対して内容は否定した」とするコメントを発表しました。

◇竹田会長 五輪・パラ誘致で中心的役割

竹田会長は71歳。
馬術の選手としてオリンピックには1972年のミュンヘン大会と次のモントリオール大会に出場しました。

その後、JOCで選手強化などに携わり、常務理事を経て2001年から会長に就任し、2012年からはIOC=国際オリンピック委員会の委員も務めてきました。

東京オリンピック・パラリンピックの招致では当時の招致委員会トップの理事長を務めるなど中心的な役割を果たしました。

◇おととしにも任意の聴取

竹田会長をめぐってはおととし、東京オリンピック・パラリンピックの招致をめぐって、フランスの検察当局が贈収賄などの疑いで捜査していたことが明らかになっています。

具体的には、日本の銀行口座から国際陸上競技連盟の前会長の息子に関係するとみられるシンガポールの会社に、およそ2億2000万円が振り込まれていたことをめぐる捜査でした。

これについてJOCは「招致委員会が行った金銭の支払いに違法性はなかった」とする調査結果を発表していました。

当時、フランスからの要請に基づいて、東京地検特捜部が竹田会長をはじめ招致委員会の関係者から任意で事情を聴きました。

これに関して竹田会長は「フランスの捜査に協力するということで話をした。JOCの調査結果を話しただけだ」などと説明しました。

◇東京五輪・パラ組織委「コメント差し控える」

竹田恒和会長が副会長を務めている東京オリンピック・パラリンピックの組織委員会は「報道で初めて知ったので詳しい状況は分からず、この件についてのコメントは差し控えたい」としています。

◇五輪招致をめぐる疑惑と経緯

2020年東京オリンピック・パラリンピックの招致をめぐっては、WADA=世界アンチドーピング機構の第三者委員会がロシアの一連の組織的なドーピングを調査していた中で、
2016年1月、日本側が国際陸上競技連盟などに多額の協賛金を支払ったと疑惑が持ち上がりました。

その後、フランスの検察当局が捜査を開始し、5月には、日本の銀行口座から国際陸連のラミン・ディアク前会長の息子に関係すると見られるシンガポールの会社に、
東京大会招致を名目に2回に分けて合わせておよそ2億2000万円が振り込まれたとして、贈収賄の疑いで捜査していると公表しました。

検察当局は、東京が開催都市に選ばれた2013年9月、ディアク前会長がIOC=国際オリンピック委員会の委員を務めていたため開催地の決定に影響力を行使できる立場にあった、と指摘していました。

一方、当時、招致委員会の理事長を務めていたJOCの竹田会長は振り込みを認めたうえで「招致計画づくり、ロビー活動など多岐にわたる招致活動のコンサルタント料で、
正式な業務契約に基づく対価として行ったものだ。なんら疑惑をもたれるような支払いではない」などと主張していました。

そのうえでJOCは、シンガポールの会社との契約に違法性がなかったどうかを調べるため、弁護士2人と公認会計士1人からなる調査チームを5月25日に設置し、
調査チームは契約に関わった当時の招致委員会のメンバーから聞き取りを行ったり、会社の実態をシンガポールで調べたりして、違法性の有無や実態解明につとめてきました。

そして調査チームは9月に調査結果を報告し、当時の招致委員会が行った金銭の支払いに違法性はなかったと結論づけた一方で、手続きの透明性に問題があったと批判していました。