小泉悠 
専門なのでロシア軍のことを日々見ているのですが、西側のヨーロッパ正面で、ロシア軍が今かなり増強されている。
ヨーロッパ側にもこれに対抗して軍備を増強する国が出始めており、今年10月にはNATOによる冷戦後最大規模の軍事演習「トライデント・ジャンクチャー」が行われました。
ヨーロッパはピリピリしてきています。
また、ロシアがクリミアを取ってしまった後に、アメリカと欧州がロシア制裁を発動しています。
日本もお付き合いで制裁していますが、欧米との大きな違いは、エネルギー分野への資金供与と技術供与を禁じる「第三次制裁」に踏み込んでいないこと。
特にアメリカは今年成立した制裁強化法律で、33%以上ロシア資本が入っていれば、ロシア領域外のエネルギー開発も参加してはいけない、という非常に厳しい措置をとっています。
さらにロシア製の武器を買う国に対しても制裁をかけており、ロシアの国力の根幹を狙っている。
その中で"アメリカ陣営"の結束を乱すことには、ロシアにとって戦略的な利益があります。