※週末の政治

 参院選が約半年後に迫る中、富山県内では立憲民主党の地方組織が設立されるメドが立っておらず、野党第1党が不在という異例の事態が続いている。野党は富山選挙区(改選定数1)で自民現職と対峙することになるが、候補者の一本化に向けた足並みもそろっていないのが現状だ。

■「体なしてない」

 「立憲民主党は政党の体をなしていない」。社民党の又市党首は8日に富山市内で行った講演で、同じ野党の立民を強い口調でやゆした。講演の大半は安倍政権への批判だったが、参院選の話題になると、野党間の調整が一向に進まない状況にいらだちを見せる場面が目立った。

 2017年10月に結党した立民は同月の衆院選で野党第1党に躍り出ると、参院でも入党者が相次ぎ第1党となった。今年4月の統一地方選や夏の参院選に向けて、地方組織の整備も進めており、すでに41都道府県で設立されている。

 ところが、県内には立民の国会議員と地方議員は一人もおらず、県組織も設立されていない。一部労組や旧民主党の関係者らが「立憲パートナーズ市民有志の会」という団体を作り、昨年11月に現職の参院議員を招いた集会を開いたが、「年明け」を予定していた県組織の設立は役員の選定などが難航し、思うように進んでいないという。

 立民本部によると、地方組織の設置にあたり、現職議員の参加という条件はない。しかし、地方議員すらいないまま組織を作っても「市民団体と同じ」(自民関係者)との指摘もある。

■国民、共産と距離

 参院選富山選挙区を巡っては、国民民主党県連が公認候補を擁立し、連合の支援を得ようと調整を進めている。共産党もすでに新人の擁立を発表しているが、保守層の取り込みを重視する国民は「共産の動きは意識していない」(川合孝典参院議員)と距離を置く。

 原発ゼロや消費増税反対などリベラルな政策を掲げる立民が不在で、国民と共産の橋渡しは困難な情勢だ。

 立民の県組織発足を目指す村中隆之・元富山市議は「一刻も早く設立し、参院選では自民党に対抗する受け皿を作りたい」と話している。

2019年01月12日 15時22分
https://www.yomiuri.co.jp/election/sangiin/20190112-OYT1T50040.html