【ワシントン中井正裕】昨年末から続く米政府機関の一部閉鎖が12日、過去最長となり、米国民の生活から経済まで悪影響が広がっている。
博物館など公共施設の休業が続くほか、空港ターミナルの閉鎖や経済統計の公表延期なども相次いでいる。閉鎖が一段と長期化すれば、企業や消費者、投資家心理を冷やし、経済への打撃が深刻化しかねない状況だ。

 政府機関の一部閉鎖は昨年12月22日に始まった。トランプ大統領のこだわる「国境の壁」予算を巡る与野党対立を背景に、2018会計年度(18年10月〜19年9月)の連邦政府予算のうち一部(約3000億ドル分)が成立しないまま、つなぎ予算が失効した。

 影響は国土安全保障省、商務省、農務省など幅広い省庁の所管業務に及ぶ。航空管制など「生命と財産に関わる」業務は継続されているが、連邦政府職員約80万人が自宅待機か無給での勤務を強いられている。
当座の生活費に行き詰まる職員もおり、インターネットの交流サイトやオークションサイトには政府職員による骨董(こっとう)品や家具などの出品が増加している。

 内務省所管の国立公園や博物館の多くは閉鎖され、職員不在の公園ではゴミの投棄や無断侵入が深刻化している。西部カリフォルニア州のジョシュア・ツリー国立公園では車両が無断侵入し、公園名の由来の希少植物ジョシュア・ツリーが荒らされているという。

 空港では運輸保安局(TSA)の保安検査員が不足し、利用客のセキュリティー検査が停滞。南部フロリダ州のマイアミ国際空港は12日にターミナルの一つを閉鎖するなど、混乱が広がっている。

 食品医薬品局(FDA)では食中毒を予防する食品施設の衛生検査がストップ。
農務省が運営する低所得者向け食料費支援サービス(フードスタンプ)を巡っては、現状では3月以降の支給の見通しが立たず、全米4000万人以上の受給者が困窮する事態も懸念されている。
税務行政を担う国税庁(IRS)も閉鎖対象で、今月28日から始まる確定申告の手続きへの対応が不安視され始めている。

 経済面での影響も出ている。商務省では統計作業が停滞し、昨年11月分の貿易統計などの公表が延期された。閉鎖が続けば、市場が注目する18年10〜12月期の国内総生産(GDP)統計が予定通り今月末に公表できなくなる恐れもある。

 通商政策も例外ではなく、米通商代表部(USTR)は、貿易戦争を展開する中国との協議は継続しているものの、他国との協議には十分に対応できない状況だ。
日米貿易交渉を巡っても国際貿易委員会(ITC)による米国経済への影響調査が遅れる見通しで、今月中と見られている交渉開始が大幅にずれ込む可能性がある。

 トランプ政権は、政府閉鎖が2週間続くごとに「GDP成長率が0.1ポイントずつ押し下げられる」と試算している。しかし、市場関係者は「長期化すれば、企業と個人、投資家の心理が冷え込み、景気や株価へのダメージは想定以上に膨らむ」(米銀大手)と指摘する。

米政府機関閉鎖 無給職員がオークション、国立公園へ無断侵入・・・経済打撃が深刻化も
毎日新聞 2019年1月12日 19時35分(最終更新 1月12日 19時41分)
https://mainichi.jp/articles/20190112/k00/00m/030/178000c


【アメリカ】トランプ大統領「非常事態宣言は急がず」 政府閉鎖、過去最長更新へ
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