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副市長がホームレスの毛布奪いゴミ箱へ 伊で住民反発
2019.01.12 Sat posted at 17:31 JST


(CNN) イタリア北東部トリエステ市の副市長がホームレスの男性から衣類や毛布を取り上げ、ゴミ箱に捨てたとインターネット上で誇示したところ、住民の怒りを買う騒ぎがこのほどあった。

物議を醸したパオロ・ポリドリ副市長は、反移民政策などを掲げて連立政権に加わるサルビーニ副首相兼内相率いる右派政党「同盟」の一員。

今月4日に市内中心部のカルドゥッチ通りで大量の「ぼろ切れ」を回収し、ごみ箱に放り込んだとフェイスブックに書き込んでいた。「問題の場所は今や見苦しくなくなった」とし、自らの行動を「いかなる違反行為も許さないとの意思表示」とも自賛していた。

これに対し一部の住民らが反発し、ホームレスの男性が居た場所に暖房用の衣類や寝具を置く行動に出ていた。「親愛なる友よ、今夜は寒さを少しはしのげるだろう。我々は市に代わって謝る」とのメッセージを記した厚紙も添えていた。

市は急な寒さに襲われており、イタリアの多くの地域も吹雪、寒冷気団や氷点下の気温に見舞われている。

地元紙によると、被害に遭ったホームスレスの男性は57歳でルーマニア出身。昨年10月から住み着いていた。

ポリドリ副市長はイタリアの通信社の取材に、衣類などの持ち主は知らなかったと釈明。ぼれ切れだったとし、「街の真ん中で汚いものを見たくなかったので即時に処理した」と主張。「トリエステでそのような退廃は容認出来ない」とも強調した。ただ、フェイスブック上の投稿内容は削除していた。

地元紙の記者はCNNの取材に、住民らの今回の行動は社会的な良心に基づくものと指摘。副市長の振る舞いについては「正気ではなく野蛮で無神経な行為」などと批判した。