日本経済新聞社の報道によると、日立製作所は英国で計画する原子力発電所の建設事業を中断する方針を固めたそうです。

これは約3兆円の事業費をめぐる日英の政府や企業との交渉が難航し、現時点での事業継続は難しいと判断したことを受けたもので、来週開く取締役会で計画中断を決める予定とのこと。

すでにイギリスに3000億円規模の資産があるため、減損処理などで損失が発生しますが、設計や工事準備などにかかる毎月数十億円の資金流出に歯止めがかかる見込み。

あくまで中断という位置付けではあるものの、再開には事業計画の組み直しが必要となるため、事業撤退に追い込まれる可能性が高いと報じられています。

・市場は好材料扱いに
企業が巨額の損失を計上するとなると株価がマイナスになりかねないわけですが、面白いのが市場は好材料と受け止めている点。

日経が日立の原発撤退を報じた10:59以降、株価は急上昇し、11:30時点で前日比4.64%高の3223円を付けています。

(株)日立製作所【6501】:株式/株価 - Yahoo!ファイナンス


世界レベルで投資や研究開発が進んだことで、再生エネルギーのコストが下がっている現状を考えると、あえてリスクのある原発ビジネスを進めるのはお世辞にも賢明ではありません。

その「割に合わなさ」は、経産省とタッグを組んで原発事業を推進したところ、テレビ・家電・パソコンどころか堅実に収益が見込める医療機器やフラッシュメモリ事業まで手放すことになった東芝を見れば分かりそうなもの。

それでも原発ビジネスを諦めようとしていない政府に、はたして付き合うメーカーはいるのでしょうか。

・追記
後場は前日比5.42%高の3247円からスタートしています。
https://buzzap.jp/news/20190111-hitachi-britain-nuclear-plant-stock/