(朝鮮日報日本語版) 韓国の新卒大学生、正社員就職は10人に1人
1/22(火) 11:01配信 朝鮮日報日本語版

 ソウル市の私立大経営学科に通うKさん(24)は昨年、卒業を2学期先送りした。昨年1学期に卒業に必要な単位は全て取得したが、まだ就職先が見つかっていない。昨年後半には企業10社に願書を送ったが、全て選考を通らなかった。Kさんは「大学に入学してから5年たつが、周囲では就職に成功した同期生はなかなかいない。次の学期にも卒業を延ばし、真剣に就職活動に取り組む」と話した。

【グラフィック】四年制大学の卒業予定者による就職状況
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 今年の大卒予定者10人のうち、正社員として就職できた人は1人にすぎないという調査結果が示された。非正社員として就職した人を含めても、大学卒業前に職場が見つかった人は10人中2人にすぎないことが分かった。政府の公式統計ではなく、就職専門機関が大卒予定者を対象に実施した調査だが、韓国の大学生が直面する現実を物語っている。

 就職情報ポータルサイト「ジョブコリア」が14日から4日間、大卒予定者のうち「就職意思がある」と表明した974人を対象に調べた結果、これまでに正社員として就職に成功したと答えた学生は11%(107人)にとどまった。インターンやアルバイト、契約社員など非正社員として就職が決まった人も10%(97人)だけだった。残る79%(770人)は卒業を目前に控えても就職先が決まっていない。

 ジョブコリアが3年前に実施した調査と比較すると、就職できた学生の割合はいずれも低下した。2016年1月に正社員として就職が決まったとの回答は全体の約17%だった。また、非正社員として就職が決まったとの回答も22%で、今年の調査結果を12ポイントも上回っていた。当時は10人中4人が卒業前に就職先が決まっていた。ジョブコリア関係者は「長期不況の影響で企業が新規採用に消極的になっているためとみられる」と話した。

■卒業と同時に就職は困難に
 卒業を控えた大学生の間では、「大学卒業と同時に社員証を首からぶら下げるのは昔の話だ」との言葉が聞かれる。就職競争がますます激しくなり、卒業後も自分の能力向上に努めなければ、狭き門を通れないからだ。昨年の韓国教育部(教育省)、韓国教育開発院による調査では、16年8月から17年2月の大卒者のうち、17年末までに就職に成功したのは66.2%だった。うち、卒業以前に就職が決まったのは3人に1人の35.3%だった。残りは大学を卒業後にさらに就職活動を続けたことになる。

 卒業後、就職が決まるまでに要する期間は長くなりつつある。昨年の統計庁による調査で、15−29歳の青年が学校を卒業、中退後、最初の職場を見つけるまでに要した期間は10.7カ月だった。調査開始以来で最長だ。大学に入学してから卒業するまでの期間は5年と1.1カ月だった。

 たとえ正社員として就職が決まっても、就職戦争が終わるわけではない。中小・中堅企業への就職者の相当数がさらに高い年収や安定した職場を目指して就職活動を続けるからだ。ジョブコリアの調査によると、正社員就職者の16%は「今年前半に他の大企業の新人採用に応募する」と答えた。公共機関への就職を目指すという人も12%いた。正社員就職者の4人に1人が大企業や公共機関に入るために就職活動を継続する計算になる。

 延世大経済学部の成太胤(ソン・テユン)教授は「韓国では中小企業、非正社員から大企業、公共機関の正社員に転職することは難しいため、大卒後すぐに良い職場に入ろうと激しく競争する。理工系、ビジネス系などの一部人気学科を除けば、問題はさらに深刻だ」と分析した。

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