髪の毛でストレス測定の技術開発

http://www3.nhk.or.jp/lnews/osaka/20190128/2000012013.html
※NHKローカルニュースは元記事が消えるのが早いので御注意を

職場などでため込んだ慢性的なストレスを、数本の髪の毛から測定する技術を、滋賀大学の研究グループが開発しました。
今後、新たに立ち上げたベンチャー企業を通じて、
企業などからのストレスチェックの依頼に対応するということです。

ストレスの新たな測定技術を事業化したのは、滋賀大学教育学部の大平雅子准教授らの研究グループです。
研究グループによりますと、ヒトはストレスを感じると体内にホルモンが分泌されますが、
髪の毛にはこのホルモンをため込んで伸びる性質があるということです。
研究グループでこの性質に着目して研究を進めた結果、独自に配合した薬品を使って
髪の毛からホルモンを抽出し、その濃度を調べることでストレスの度合いを測定する技術を開発しました。

髪の毛は一般的に1か月に1センチ程度伸びるとされ、毛根から何センチの部分を調べるかによって、
ストレスが積み重なった時期やその程度を、最長で半年前までさかのぼって測定することができるということです。
測定に必要な髪の毛は数本程度で済むということで、研究グループでは、
この技術をいかしたビジネスを行うため、今月、ベンチャー企業を立ち上げ、
今後は従業員へのストレスチェックが義務づけられている企業などからの
ストレスチェックの依頼に対応することにしています。

ベンチャー企業の社長に就任した研究グループの五十棲計さんは
「自分ではストレスをため込んでいると気付いていない人にも客観的な数値で教えることができる。
ストレスがない職場づくりに貢献していきたい」と話していました。

研究グループによりますと、髪の毛を使ったストレスチェックをビジネス化するのは国内では例がないということです。

【研究グループは】
今回の研究を中心的に行っている滋賀大学教育学部の大平雅子准教授は、28日の記者会見で、
「髪の毛を使ったストレス研究は欧米で技術的に確立していたが、
集団の健康状態を捉えるためのものだった。一人一人の状態に合わせて
ケアしようという今回の取り組みは国内では初めてとなる」と話していました。

また、研究グループの一員でベンチャー企業の社長に就任した五十棲計さんは、
すでにこの技術について企業からの問い合わせが来ていることを明らかにしたうえで、
「測定の正確性を高め、3年後までには技術を確立して企業に導入してもらえるようにしたい。
1人3000円から5000円で診断できるようにして、5年後までに
年間10億円の売り上げを目標にしていきたい」と話していました。

さらに、取締役に就任した、臨床心理学が専門の芦谷道子教授は、
「自分のしんどさを周りに伝えられない子どもや障害のある人たちのストレスも
評価して、助けてあげられたらと思う」と話し、利用の幅を広げていきたい考えを示しました。

【開発した技術とは】
研究グループによりますと、生理学的にストレスの度合いを調べる手軽な方法としては、
だ液からホルモンを抽出する方法が知られています。
ただ、測定を行う直前に受けたストレスによってホルモンの濃度に大きな影響が出るため、
長期にわたる慢性的なストレスを調べるには不向きとされています。

これに対し、髪の毛から抽出する方法は、最大で半年ほど前までさかのぼって
ストレスの度合いを測定することが可能ですが、これまでの技術では数十本の髪の毛を必要としていました。
研究グループでは、より手軽に測定を行えるようにするため、ホルモンを抽出する薬品の配合を工夫した結果、
数本の髪の毛だけで測定できる技術を確立しました。

測定の手順としては、まず、毛根付近から切り取った髪の毛を1センチほどの単位で細かく切り分けます。
髪の毛は1か月に1センチほど伸びるとされているため、例えば2か月前のストレスを調べたい場合は
毛根から2センチのあたりを調べます。
切り分けた髪の毛を薬品に浸し、ストレスに関わるホルモンを抽出したあと、その濃度を分析します。

ホルモンはストレスの度合いが強ければ強いほど濃度が高まることから、
どの時期にどの程度のストレスが積み重なったかを客観的な数値で示すことができるということです。

※容量オーバーなので続きはソース元で