春節(旧正月)に入り、京都・祇園では中国語での会話が普段にも増して聞こえてくる。にぎやかな花見小路の突き当たりに建つ建仁寺では2月6日、カルビーのフルグラ新商品PRイベントが開かれた。

お茶のお点前を披露し、興味を持って近づいた旅行者にフルグラのサンプルや、抹茶ドリンクを提供。茶種を中国から持ち帰り、日本で茶の普及に寄与した栄西が建立した建仁寺を会場に選んだのは、新商品が抹茶味であり、そのターゲットが中国人だからだ。

知らぬ間に中国で人気に

フルグラがこの数年、中国人の間でバカ売れしていることをご存知だろうか。小林製薬の“神薬”や象印、タイガーのステンレスボトルと並び、爆買い銘柄の一角に食い込んでもう数年になる。

カルビーが“異変”に気付いたのは、2015年ごろだったという。

執行役員でフルグラ事業本部の藤原かおり本部長は、「全国のあちこちから、中国人が大量にフルグラを買っているという情報が寄せられました。最初は台湾で火がついたとの話もありますが、はっきりしていません。意図せずしてブームが起きたのです」と当時を振り返る

爆買いされた理由について、藤原さんは「ドラッグストアの目立つ位置に置かれていたことが大きいと思います。中国や台湾の旅行者はドラッグストアによく立ち寄るので、最初は他の商品を買うついでにフルグラにも目が行ったのではないでしょうか」と分析した。

当時、中国にフルグラを運び込んでいたのは、旅行者や転売を目的とした個人・業者だった。棚ぼたで手に入れた中国需要の開拓にカルビーが取り掛かったのは2017年。7月に中国EC最大手アリババのプラットフォームで販売を開始。同年11月以降は京東商城(JD.com)など他のECやリアル店舗にも販路を広げた。

カルビーが2月5日に発表した2018年度第3四半期(4〜12月)の決算によると、フルグラの売上高は前年同期比11.2%増の約223億円。国内は同5%減ったが、中華圏をメーンとする海外が同157.2%伸びて52億円となり、全体の数字を押し上げた。

2017年6月にまではゼロだった海外売上高が、今や全体の4分の1を占めるまでに成長している。

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