厚労省の毎月勤労統計(毎勤統計)調査不正から端を発した「アベノミクス偽装」問題。安倍首相は最近の国会で、アベノミクスの成果を強調するために「『総雇用者所得』は、名目でも実質でもプラスになっている」と壊れたレコードのように繰り返している。

どうやらお気に入りの言い回しらしいが、安倍首相の言い分をうのみにしてはいけない。国民に景気回復していると刷り込む“印象操作”に過ぎないからだ。

総雇用者所得は、毎勤統計の1人あたりの賃金に、雇用者数をかけあわせたもの。要するに、国内の雇用者の所得の合計を表す値だ。

生活実感に近い実質賃金が昨年を通じてマイナスになる可能性が高いため、安倍首相は景気が上向いている証拠として、総雇用者所得の増加を“印籠”のごとく振りかざしている。しかし、問題は、総雇用者所得が増えている理由だ。

総雇用者所得は「1人あたり賃金×雇用者数」で算出される数字だから、働く人の増減に比例する。この単純な理屈を安倍首相は都合よく“利用”しているのだ。経済評論家の斎藤満氏がこう言う。

「働く人が増えていることは事実ですが、その多くは世帯主の稼ぎに頼れない女性や高齢者。派遣労働やパート、アルバイトをしなければ家計を支えることができないのです。

つまり、安倍首相の『総雇用者所得は増えている』という主張は、賃金の少ない労働者が増えているということと同じです。胸を張れる話ではありません」
(※以下ソースに続きあり)

(ソース)日刊ゲンダイ
安倍首相が連発「総雇用者所得増」は国民への“印象操作”
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/247174
公開日:2019/02/09 06:00 更新日:2019/02/09 06:00