千葉県野田市立小4年の栗原心愛(みあ)さん(10)が1月に自宅浴室で死亡し、傷害容疑で両親が逮捕された事件では、心愛さんがSOSを発したアンケートのコピーを野田市教委が父親に渡した上、心愛さんの署名が入った虚偽の書面を見せられた児童相談所が心愛さんを親元に帰すという判断をした。父親の威圧的な態度に職員が屈したことが一因とみられるが、守るべき子供の安全より「大人の都合」を優先した形だ。ほかの自治体でも起こりうることなのだろうか。

 「普通では、あり得ない」。大阪府教育庁の担当者は、野田市教委の対応に疑問を呈する。

 心愛さんの父親、勇一郎容疑者(41)は平成30年1月12日、心愛さんが勇一郎容疑者から暴力を受けたと記したアンケートを見せるよう、市教委や学校に威圧的な態度で執拗(しつよう)に要求し、恐怖を感じたという市教委側がコピーを渡してしまった。

 大阪府でも子供たちに生活の様子を尋ねるアンケートを実施しているが、虐待が疑われる事案があった場合は関係機関で情報を共有し、保護者から威圧的な対応で開示を迫られた場合は警察へ通報するのが一般的という。担当者は「(野田市のようなケースは)考えられない」とした。

 大阪市では個人情報保護条例で、アンケートのような個人情報については、本人の生命などを害する恐れがある場合は開示請求に対し、応じなくてもよいと定めている。不当要求の対応マニュアルもあり、市教委の担当者は「個人ではなく組織で対応するなど、基本的にはマニュアルに基づいて行動する」と説明する。

 今回の事件では、児相の対応も問題視されている。勇一郎容疑者から心愛さんの署名入りで「お父さんにたたかれたというのはうそです」と書かれた書面を示され、児相側は2日後に心愛さんが自分の意思で書いたものか確認しないまま、帰宅させることを決めた。

 これに対し、兵庫県では同様のケースについては児童だけを別室に呼んで話を聞くなどの対応を取るといい、担当者は「年少の児童が書いたものをそのまま受け入れることは通常ではしない」。神戸市こども家庭センターの担当者も「基本的には書面の内容を本人に確認すべきだ」と指摘する。

 また和歌山県では、一時保護した子供の帰宅の条件として、児相と市町村職員がそれぞれ月1度ずつ家庭訪問することを定めており、子供の異変に気づける態勢を取っているという。

 厚生労働省が公表している「子ども虐待対応の手引き」では、自治体が虐待のケースごとにとるべき対応が記されている。例えば、暴力的な保護者に対しては「挑発行為には決して乗らないように注意しなければならない」とある。手引にしたがって行動すれば、今回のような不手際は起こらなかったはずだ。

 NPO法人「児童虐待防止協会」(大阪市)の津崎哲郎理事長は、虐待への対応の仕方には自治体間で温度差があるとした上で、「対応の経験が少ない自治体だと、今回のような不手際は起こる可能性がある」と指摘。「児相などの職員は通常は3〜5年で異動してしまうが、長期間在籍してノウハウを持ったベテランを育てるなどして、職員の質を高めるなどの工夫をする必要がある」と話している。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190209-00000565-san-soci
2/9(土) 20:23配信
YAHOO!JAPANニュース(産経新聞)

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