IZA 2019.2.10
http://www.iza.ne.jp/kiji/world/news/190210/wor19021020420009-n1.html

【モスクワ=小野田雄一】
国外脱出したいと考えるロシア人の若者が急増していることが、露独立系世論調査機関「レバダ・センター」の調査で分かった。
長引く経済低迷や政権によるインターネット統制を若年層が嫌っているためだとみられ、一部メディアは国の将来を危惧している。

 レバダ・センターは移住意識に関する世論調査を昨年12月に行い、このほど結果を公表した。
それによると、「他国の永住権を得て移住したいと思うか」という問いに、18〜24歳の回答者の41%が
「思う」と答えた。前年調査の32%から9ポイント増加した。

 他の年齢層も含めた全体で見ると、「移住したいと思わない」の回答が1990年の調査開始以来で最高の82%を記録。
全体的には移住願望が低下している中で、若い世代の国外脱出熱が突出している。

 ロシアでは昨年までの5年連続で国民の実質所得が減少するなど、経済の不振が長期化している。
国営部門の肥大化といった経済の構造問題に、米欧の対露制裁や石油価格の下落が重なったためだ。
政権がネット統制や通信監視を強化していることも若者の閉塞(へいそく)感を強めたと考えられている。

 露経済紙「ベドモスチ」は「移住を望む若者の増加は頭脳流出を招き、将来的にロシアの発展を阻害する可能性がある」と分析。
実際に永続的な外国移住をしたロシア人も、2011年の約1万4千人から18年の約5万1千人に増えていると指摘した。