中国に造ってもらったけれど、お金がない――。南太平洋の島国バヌアツのサルワイ首相が、中国の無償支援でできた大型会議場について、維持する予算がなくて困っていると認めた。電気代すら払えないという。地元紙デイリーポスト(電子版)が11日、伝えた。

 首都ポートビラにある会議場は、中国が約1500万ドル(約16億5千万円)かけて建設し、2016年に完成した。1千人を収容するメインホールのほか、200人収容の会議室、100人収容の記者会見室、厨房(ちゅうぼう)などを備える。首相府が管理している。

 だが、サルワイ首相は地元紙に対し、維持する予算がなく、電力・水道会社への未払いが数百万バツ(数百万円)に上っていると認めた。企業や官庁がイベントを催す際、この会議場ではなくホテルを使いがちだとも説明。今年7月にポートビラで国際電気通信連合(ITU)が開く国際シンポジウムも「残念ながら、会議場はこの重要なイベントにならない」と語った。

 人口27万人の同国では、近年、港の埠頭(ふとう)やスポーツ複合施設、首相府庁舎など、中国の支援で次々と大きな施設ができた。太平洋の島国に対する中国の「インフラ攻勢」については昨年、地理的に近いオーストラリアの担当相が「白い象(無用の長物)」と表現して警戒感を示していた。(シドニー=小暮哲夫)

2019年2月11日14時49分
朝日新聞デジタル
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