厚労省「毎月勤労統計」の不正調査の一件。安倍官邸は厚労省のせいにして逃げるつもりだが、どうやらその先も考えている。厚労省のゴタゴタに乗じて、悪名高き「内閣人事局」の権力を増大させようとしているのだ。

 8日の衆院予算委で、安倍首相の愛弟子である自民党の萩生田光一幹事長代行は、毎勤問題に関して、厚労省の現場の統計官と管理職のギャップを取り上げた。

「統計官の仕事を分かっている管理職はどれくらいいたのか。過去、遡ったら、統計官から局長になったのは、たった1人。自分たちの仕事を分からない上司の下で仕事をする部下は結構大変ですよ」

 ここまでは、その通りだ。次に、萩生田は役所の採用をやり玉に挙げた。

「(採用された官僚は)自分を選んでくれたとずっと(役所と)つながるから変な歪んだ縦の関係が生じている」として、こう畳みかけた。
「私、(採用の)最終決定権は人事院や、せっかく内閣人事局をつくったんですから、“外の目”で最終決定したらいいと思う」

 内閣人事局――。安倍政権は2014年5月に官邸直轄の内閣人事局を設置し、それまで各省庁に委ねられていた審議官級以上の幹部職員600人の人事を握った。

 福田康夫元首相は、17年8月の共同通信のインタビューで、内閣人事局について「各省庁の中堅以上の幹部は皆、官邸(の顔色)を見て仕事をしている。恥ずかしく、国家の破滅に近づいている」「政治家が(官僚の)人事をやってはいけない。安倍内閣最大の失敗だ」と指摘している。

 この萩生田氏の提案は、幹部人事にとどまらず、官僚の採用の最終決定も官邸が掌握しようというものだ。

「厚労省の解体的出直しは必要ですが、官邸が出る番ではありません。むしろ、官邸が採用の最終決定権を握れば、もっと歪むだけです。官邸に選んでもらったわけですから、入省時から官邸に従順な官僚ばかりになるでしょう。萩生田質問からは、厚労省への世論の反発を背景に官邸の権力強化の意図が透けて見えます。とても危険な動きです」(政治評論家の山口朝雄氏)

 内閣人事局発足後、「強い官邸」のせいで、どれだけ行政が歪められたか――。内閣人事局に採用権なんて絶対に許してはいけない。

(ソース)日刊ゲンダイ
自民・萩生田氏ブチ上げ 内閣人事局が官僚採用権を握る日
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/247280
公開日:2019/02/10 06:00 更新日:2019/02/10 06:00