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 日本で1番目に多い名字は佐藤、2番目は鈴木です(明治安田生命調べ・2018年)。その鈴木姓の発祥の地とされる屋敷が和歌山県海南市にあるんですが、老朽化によって消滅の危機に瀕しています。そこで地元では、全国の鈴木さんに寄付を呼びかけて復元に乗り出すことになりました。

 その屋敷は和歌山県海南市の郊外にあります。老朽化によって去年6月から解体工事が進められています。実は、この屋敷のある「藤白神社」は全国の鈴木さんが訪れる巡礼地となっています。なぜ、この地が“鈴木姓発祥の地”となったのでしょうか?

 「熊野にいた鈴木一族がこちらに移り住んで、ここを拠点として熊野信仰を全国に広めていくという一族の活躍の歴史があります」(藤白神社 平岡溥己総代長)

 「鈴木姓」は平安時代の末期に熊野地方から藤白神社に移り住んだ豪族がルーツとされ、鈴木一族が熊野信仰を布教して回っていたことで、全国に広がったといいます。そのため、神社には鈴木さんにしかご利益がないという“鈴木さん専用お守り”が置いてあったり、長さ約15メートルにもなる「鈴木一族の家系図」が保存されていて、訪れた鈴木さんにはこのコピーが無料で配布されます。今では全国から月に100人ほどの鈴木さんが訪れていますが、肝心の屋敷が消滅の危機に直面しているのです。

 「現状をみると幻滅を感じて、これはこれはという感想で…」(平岡溥己総代長)

 鈴木一族が暮らした「鈴木屋敷」は江戸時代後期に造られたといわれ、庭園を望む立派なつくりでした。ところが、1942年に122代の当主が亡くなって以来、空き家となりました。その後、老朽化が進みましたが、補修には莫大な費用がかかるため手をつけられない状態が続いていたのです。

 かつて、この場所では…全国の鈴木さんが集う「鈴木サミット」がこれまでに7回開催されました。20年前のサミットでは、100人の鈴木さんが集まり、家系図や古文書を持ち寄り、「鈴木」の歴史について語り明かしたほどです。

 そんな中、転機が訪れました。4年前、屋敷を含む神社境内などが、国の史跡に指定されたのです。屋敷を国の文化財として復元することが可能になり、費用の約6割を国や県、市が負担することになりました。ただ、残り6000万円は神社負担。そこで動いたのが、「鈴木屋敷復元の会」の会長でした。

 Q.会長のお名前は?

 「珍しい名前で、『神』に『出る』と書いて、神出(じんで)といいます」(鈴木屋敷復元の会 神出勝治会長)

 Q.鈴木ではない?

 「ではないです、申し訳ございません。企業版ふるさと納税を使ってご寄付を頂くということでやっています」

 企業版ふるさと納税とは、自治体の取り組みに賛同する企業が寄付するふるさと納税で、寄付額に応じて法人税が一部控除されるなどの特典があります。これを屋敷復元の切り札として先月から全国に寄付を呼び掛けたところ、早速、会長が鈴木姓の東京の会社から寄付の申し出があったと言います。

 「全国の『鈴木さん』に助けていただかないといけない。この海南から全国へ鈴木さんが出ていきましたので、今度は全国から鈴木さんをこちらへ帰ってきていただくような気持ちで、いま復元を目指しています」(神出さん)

 市などは2年後に復元を完成させ、屋敷の一般公開も検討しています。鈴木屋敷のピンチを救う支援はどれだけ集まるのでしょうか。

2/11(月) 19:08配信
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