「計画的に道具を使う能力があるという初めての決定的な証拠」
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「計画的に道具を使う能力があるという初めての決定的な証拠」と研究者

カラスの一種であるカレドニアガラスが、3工程もの計画を立て、道具を使って餌を手に入れる能力をもつことが、新たな研究で判明した。これまで動物には未来を想像し、計画を立てて行動する知能は備わっていないとされてきた。

「チェスをする人間のようです」と、研究を指揮したニュージーランド、オークランド大学のアレックス・テイラー氏は話す。研究成果は、2019年2月7日付けの学術誌「Current Biology」に発表された。

カレドニアガラスは、オーストラリアの東の島々に生息するカラス科の鳥で、道具を作ることで知られている。小枝を加工して槍や釣り針を作り、それを使って獲物の幼虫をとる。ほかに、石を使って餌をとる研究例もある。筒に水を入れ、餌を浮かべておく。ただし、カラスのくちばしは餌に届かない。するとカラスは容器に石を落とし、くちばしが届くまで水位を上げて餌をとるのだ。

とはいえ、カラスが頭の中で、行動を事前にどこまで計画しているかは不明だった。テイラー氏も「決定的な証拠を示すのは非常に難しい」と説明する。「動物がどう考えているかまでは、私たちにはわからないのですから」

何を考えているのかをカラスに聞くことはできない。カラスの行動から何が起きているのか推測するのは簡単でも、それを証明するには緻密に試験する必要があった。
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■カラスにパズルを解かせる

そこで、研究チームは、野生のカレドニアガラスを飼い慣らし、パズルを解く訓練をした。例えば、筒に石を落とせば餌が手に入るといった方法を複数、カラスに覚えさせた。一つひとつのパズルを訓練し終わると、研究チームは実験装置にカラスを放した。

テイラー氏のチームがつくった実験装置は次のようなものだ。装置の外側の4面には1面ごとに仕掛けを設置した。さらに、他の面から仕掛けが見えないように、ついたてで区切って小部屋のようにする。そして、1つ目の小部屋には小枝を置いた。2つ目の小部屋には、筒の中に石を入れた。この石は小枝を使わないと取れない仕組みだ。3つ目の小部屋には、石を落とすと肉が出てくる仕掛けを作った。そして4つ目には、カラスを惑わすために、餌取りでは使わない別の道具を置いた。(掲載の動画参照)

この実験装置での正解は、1番目の小部屋の小枝をとって、2番目の小部屋の石を小枝を使って入手し、3番目の小部屋で装置に石を落として餌を食べる、だ。まさに計画を立てて行動しないと、カラスは餌を食べられない。

カラスは、実験装置の周りを飛び回り状況を確認するなどしたが、餌を手に入れる手順を間違えることはなかった。しかも4つの小部屋に置かれたものは、ほかの場所からは見ることができない。カラスはそれぞれの部屋にあるものを覚え、さらに頭の中で装置の餌を出すために必要な手順をイメージしてから行動したと考えられる。

※省略

「人を侮辱するときに英語では『鳥頭』という言葉を使いますが、今回の研究はこの表現がいかに間違っていたかを示しています」とスフィフト氏。「カラスの知能が解明できるのは、もっとたくさんの研究をしてからでしょうね」と同氏は付け加えた。

2/16(土) 10:33
ナショナル ジオグラフィック日本版
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