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2) 国際競争力の確保

欧米では、人工知能の技術開発やビジネス化の進展はめざましく、国際競争
が激しさを増している。特に、大手 ICT 企業等は、Web、SNS によって様々 なビッグデータを
収集しており、また、年間1兆円規模の研究開発投資を行 っている企業もある。さらに、世界中
から優秀な研究者を集めてくるなど、 日本に比べて圧倒的に人工知能研究に必要な環境を備えている。
ウェブビジネスの世界では、様々な技術やビジネス環境等の条件が揃った時 に、タイミングよく登
場した米国企業が急速に成長し、圧倒的な競争力で後 発企業を寄せ付けなくなるという状況が繰り
返されている。

その過程では、 成長し始めた企業によって関連の研究者が次々と引き抜かれていく
とともに、 規模の経済のメカニズムが働くことによって、後発企業が主戦場となる分野 で競争する
ことが著しく不利になる、あるいはほとんど不可能になってしま う、という状況に陥っている。
検索エンジンなどはまさにこれに当てはまる 事例であり、欧米等の ICT 企業が急速に巨大化して
いった中で、関連の主要 な研究開発を行うことが極めて困難になっていったという報告もある。

人工知能が今後、IoT の潮流の中で情報系から物理世界系へ対象を拡大して いく中で、製造・素材
など日本が得意とする「ものづくり」とも密接に関連 している物理世界系において、上記と同様の
事態が起こることがあれば、我が国は産業競争力を喪失してしまうことは火を見るより明らかである。