「弁護側証人、専門性が高く説得力ある」

 その上で、検察側、弁護側双方の証人の証言を評価した。
弁護側証人の国立がん研究センター先端医療開発センター精神腫瘍学開発分野長、同東病院精神腫瘍科長の小川朝生氏(精神腫瘍学、精神科指導医・専門医)、
帝京平成大学健康医療スポーツ学部教授で前帝京大学ちば総合医療センター救急集中治療センター長、麻酔科医の福家伸夫氏、
埼玉医科大学総合医療センターブレストケア科教授、診療部長の矢形寛氏(乳腺外科、外科指導医・専門医)の各証言については、専門性が高く説得力もあると評価。

 一方、検察側証人の帝京大学医療情報システム研究センターのセンター長で、麻酔科医の中田善規氏については専門性を評価しつつ、
「乳房手術とせん妄のリスク」についての証言が過去の自身の共著論文と食い違う主張をしていたことなどから、「見解の一貫性に疑問がある」と指摘した。

 検察側証人で、元科学捜査研究所研究員の慶應義塾大学保健管理センター准教授、西村由貴氏(精神科専門医、医学博士)に対しては、
「せん妄について専門性がないのでは、という疑念はおくとしても」とした上で、「DNAが検出されており、せん妄で説明する必要がない」という証言は「結論を先取りしている」として、証拠力は乏しいと述べた。