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豚コレラ拡大も感染源は不明、人災の面も
生産者から「早くワクチン接種を」の悲痛な声
なぜ?政府がワクチン接種に踏み切れないワケ

自民党・養豚農業振興議員連盟(2月19日)
https://www.fnn.jp/image/program/00426880HDK

飼育されている豚に豚コレラのワクチンを打てば、体の中に抗体ができるため、ウイルスの感染は防げることになる。今回豚コレラの発生した地域、及びその周辺で感染の脅威に接している地域の養豚農家からは、「一刻も早くワクチンを打って感染拡大を止めてくれ!」との切実な声が挙がる。

所管する農水省の吉川大臣は「飼養衛生管理の徹底によって、豚コレラの蔓延防止ができない場合の最終手段であると考えている」として、慎重な考えを示し、ワクチン接種の判断は下していない。それは一体なぜなのか?

1887年(明治20年)の日本で最初の発生以降、豚コレラは国内各地で甚大な被害をもたらしてきた。しかし1969年に有効で安全なワクチンが実用化され、組織的なワクチン接種を推進したことで、発生は激減。1992年の熊本県での発生を最後に国内での発生がないことから、他の養豚先進国と同様にワクチンを用いない防疫体制の確立を目指し、徐々にワクチン接種を中止した。そして最後の感染確認から15年後、ワクチン接種の全面中止から1年後の2007年に、国際獣疫事務局(OIE)の規約に従い日本は「豚コレラ清浄国」となった経緯がある。この世界的なお墨付きによって、日本産豚肉を輸出する道が開けることになった。

こうして「豚コレラ汚染国」脱却に長い年月と労力を要したにも関わらず、今回ワクチン接種に踏み切れば、再度「汚染国」に逆戻りすることになり、自民党関係者からも「ここまで積み上げたステータスを全て捨て去ることになる」との悩ましい声が漏れてくる。

19日に自民党で開催された、養豚農業振興議員連盟の会合でも「ワクチン接種」を求める声が出席者から挙がったが、一方で仮に野生のイノシシが媒介となっているならば、管理している豚と違ってどう対応できるのといった懸念の声も挙がった。

また、ワクチンの接種をしたとしても、ウイルスの侵入防止ができない可能性や、接種により新たな豚コレラ感染の発見を遅らせるとの指摘もある。さらには「ワクチンを接種された」豚への新たな風評被害を生み出すことも想定される難しい状況も背景にある。

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