御土居は1591(天正19)年、京都を囲うように築かれた南北約8・5キロ、東西約3・5キロの大規模な土塁と堀。指定対象は1980年以降、南区の油小路通八条通|九条通であった発掘調査の出土品で、近世に堀などに捨てられたものとみられる。
出土品は、安土桃山時代から江戸時代初頭ごろの木製品が中心となる。木簡には、国内で1点しか確認されていないアルファベット表記したものが含まれ、片面に「V」などと読める筆記体の字体がみられ、もう片面に日本語で「せるそ様」(イエズス会の宣教師セルソ・コンファローネ)の名を記す。近世にかけてヨーロッパ人や宣教師が近くで集住していた可能性を示す。
一方、人形は頭部に冠や烏帽子(えぼし)をかたどり、髪のような細工を施すなど立体的な造形になっている。芸能具や玩具とみられ、文楽人形の原初形態を思わせる。併せて漆を塗るヘラも出土しているため、近隣に人形をつくる工人が存在していたと考えられるという。
一帯はかつて東寺領で、道路を開発して宅地や田畑に変えた「巷所」が中世後半から形成された。巷所には東寺の掃除や雑役を担う散所人、手工業者や商人などが集住していたとみられるが、これまでは文献や民俗芸能の研究が主体だった。
市文化財保護課は「こうした研究を考古学的に裏付ける貴重な資料になり、京都の歴史解明の進展に寄与する」としている。
ほかに、建造物2件、美術工芸品2件、名勝1件が指定され、市指定・登録文化財は計525件になる。
京都新聞 2/25(月) 22:13
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