伊勢湾の春の味覚として親しまれるコウナゴ(イカナゴ)の漁について、三重、愛知両県の漁業団体は今年も操業しないことを決めた。資源量が枯渇傾向にあるためで、代表者同士が申し合わせた。禁漁は四年連続。

湾内で三重県水産研究所が一、二月に十八地点で分布調査したが、採取数はゼロ。同県ばっち網漁協などが今月九日に実施した四海域の試験漁でも「ほとんど取れなかった」という。愛知県の水産研究所と漁業団体も調査し、同様の結果だった。禁漁は、三重県ばっち網漁協の一尾康男組合長と、愛知県しらす・いかなご船びき網連合会の高塚武史会長が十一日に電話で申し合わせた。一尾組合長は「試験漁などの結果は漁ができる次元ではなく、禁漁は組合員も納得してもらえると思う」と話した。

コウナゴ漁は通常なら三〜五月にあるが、伊勢湾では二〇一六年からほとんど見当たらなくなった。コウナゴが湾外で過ごす夏場の水温が高くなり、成熟が進まなかったり、死んだりして産卵する親魚が減ったためとみている。

三重県では県水産研究所と漁業団体が十九日、採取結果を踏まえて資源回復策を話し合う。(片山健生)

2019年3月13日
中日新聞
https://www.chunichi.co.jp/article/mie/20190313/CK2019031302000035.html